短編集

 


「は、っ♡はぁ、っは……♡」
「ン、すげ……いっぱい出たな♡」

 射精後特有の倦怠感に、ベッドに座ったまま脱力する。
 オレの陰茎を咥えていた飛段が顔を上げた。そうしてんべ、と舌を出して口内を見せつけてくる。たった今吐き出したばかりのスペルマで白く汚れた舌に、顔を歪めた。

「見せてくんじゃ、ねっ……!?」

 ベッドに片膝立ちになった飛段の手がオレの後頭部を掴んだ。そして無防備な唇に齧りつかれる。慌てて口を閉じようとしたが……遅かった。

「ンうっ! ん゛ーっ!」

 オレの精液でまみれた飛段の舌に咥内を蹂躙される。粘着質な水音が頭の中まで響いて、特有の青臭さが口いっぱいに広がった。
 クソ、最悪だ……と思うのに。達したばかりでクリアになったはずの脳内が再び熱でぼーっと霞む。
 気づけばオレは、飛段の舌に誘導されるがまま……己の精液を飲み下していた。

「っハ♡いい子だなァサソリちゃんは♡」
「るせ……っ♡」

 ゾクゾクと背筋を走るのは、嫌悪ではない昂り。肚の底が甘く疼いた。

「人の事よく変態だって言うけどよォ……自分の精子飲んで興奮してるサソリちゃんも大概変態だと思うぜェ?♡」
「ぅあ……っ♡」

 再び硬くなった性器を膝で押され、喘ぎ声が漏れる。そんなオレを見た飛段は、興奮した表情で再びオレの唇を食む。
 いや――きっとオレも、コイツと同じような顔をしてるんだろう。




 
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