800字チャレンジ

ペルシャネコの赤ちゃんのお人形、魔法少女のステッキにフレアのミニスカート。ビジューのついた靴やピンクのグロス、ふわふわのぬいぐるみ。きらきらしたものや可愛らしいもの、眺めているだけで心がときめくものようなもので満たされたこの執務室で、わたしは今日も歴史を守るための戦いに力を注いでいる。

「主、演練と遠征の部隊が戻ってきたよー」
「ありがとう。ちょっと早いけど今日はこの辺で終わりにしよっか」
「わかった、それならお茶でも淹れてこようかねー。お茶請けはアンダギーでどう?」
「最高! 菜切のサーターアンダギー大好き!」
「あはは、それは光栄だねー。じゃあ持ってくるよ」
「うん。よろしくね」

厨へ向かった近侍の背中が見えなくなったのを確認してから、わたしは大きなため息をついてその場に崩れ落ちた。

「菜切、今日も可愛すぎる……」

審神者の両親の間に生まれたわたしは、父と母、そして両本丸の刀剣男士たちからめいっぱいの愛情を注がれながら育てられた。なかでもわたしが一等懐いていたのが父の本丸の北谷菜切で、彼とはじめて顔を合わせた日のことは今でも鮮明に覚えている。南国の花を思わせる鮮やかな装束や、金や螺鈿の装飾がきらきらと輝く拵は幼いわたしの心を惹きつけてやまず、一瞬で彼の虜になってしまった。かわいい、大好き、わたしの本丸に来て!わたし菜切のお嫁さんになる!と出会って早々にプロポーズをかましたわたしに、彼は優しく微笑んで、そして。

「よろこんで。でも、にーびちは主が大人になったらね」

そう言って、ふわりと頭を撫でてくれた。その日から私は、この美しい刀に恋焦がれ続けている。
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