800字チャレンジ
「主!大変だ!」
「今度は何!?」
ばたばたと廊下を駆けてきたのは治金丸だった。珍しく息を切らしていて、額にはうっすら汗まで浮かんでいる。
「ちい兄がクッキンアイドルになってしまった!」
「え、何て?」
「もう治金丸、廊下走ったら危ないよー」
「言ってる場合じゃないだろちい兄」
「わ! なちり、どうしたのその格好!」
「おれにもよくわからない。手入れ部屋から出たら戦装束の形が変わってたんだ」
治金丸の背後からひょっこりと現れたのは確かに北谷菜切だった。しかし、頭には大きなにんじんやいちごやさくらんぼの飾りが縫い付けられた愛らしいコック帽を被っていて、フリルのたっぷりついたエプロンを身にまとっている。その姿を見た瞬間、みんなも作ってアラモード、というセリフがなぜか脳裏を過った。
「か、かわいい……!」
「言ってる場合じゃないだろ主」
「ねえ主大変!」
またしても執務室の襖が開けられる。一体今度は何が起こったっていうんだ。
「加州! もしかして手入れ部屋で何かあった?」
「え、よくわかったね。乱が大変なことになっちゃってさ」
「乱が!?」
「あるじさん、ボク魔法少女になっちゃった!」
「うわっほんとだ! かわいい!」
少し遅れて執務室へ入ってきた乱の姿は、確かに魔法少女としか言い表せないものだった。ピンクの帽子にピンクのコスチューム。動くたびにパニエの入ったスカートと胸元の大きなリボンがふわりと揺れる。どうしよう、めちゃくちゃ可愛い。
そして、ここまでの流れで一つ気づいたことがある。
「ねえ鯰尾、今回のバグってさ」
「主が日頃抱えてる煩悩が具現化してる可能性が高いと思う」
「だよね!」
ヘアコントロールが完璧なスーパーアイドルの篭手切江。料理の力で世界を救うクッキンアイドルの北谷菜切。カードをキ
鯰尾は苦笑しながら言った。
「俺、美少女になっちゃったっぽい」
「……え?」ャプターして戦う乱藤四郎。いつも私が脳内で思い描いていた姿だった。
「ねえ、鯰尾兄は大丈夫? 昨日手入れ部屋入ってなかった?」
「そうじゃん。どこか調子悪いところとかない?」
「……主、気づかない?」
「え、やっぱりバグ喰らってた!? 大丈夫!? 具合は!? 悪くない!?」
「そこは心配しなくて大丈夫。でも」
そこで初めて気づく。隣に立つ鯰尾の背丈がいつもより低いことに。輪郭の丸みに。
「俺美少女になっちゃった。主の好きな元気な黒髪ロングの美少女」
「今度は何!?」
ばたばたと廊下を駆けてきたのは治金丸だった。珍しく息を切らしていて、額にはうっすら汗まで浮かんでいる。
「ちい兄がクッキンアイドルになってしまった!」
「え、何て?」
「もう治金丸、廊下走ったら危ないよー」
「言ってる場合じゃないだろちい兄」
「わ! なちり、どうしたのその格好!」
「おれにもよくわからない。手入れ部屋から出たら戦装束の形が変わってたんだ」
治金丸の背後からひょっこりと現れたのは確かに北谷菜切だった。しかし、頭には大きなにんじんやいちごやさくらんぼの飾りが縫い付けられた愛らしいコック帽を被っていて、フリルのたっぷりついたエプロンを身にまとっている。その姿を見た瞬間、みんなも作ってアラモード、というセリフがなぜか脳裏を過った。
「か、かわいい……!」
「言ってる場合じゃないだろ主」
「ねえ主大変!」
またしても執務室の襖が開けられる。一体今度は何が起こったっていうんだ。
「加州! もしかして手入れ部屋で何かあった?」
「え、よくわかったね。乱が大変なことになっちゃってさ」
「乱が!?」
「あるじさん、ボク魔法少女になっちゃった!」
「うわっほんとだ! かわいい!」
少し遅れて執務室へ入ってきた乱の姿は、確かに魔法少女としか言い表せないものだった。ピンクの帽子にピンクのコスチューム。動くたびにパニエの入ったスカートと胸元の大きなリボンがふわりと揺れる。どうしよう、めちゃくちゃ可愛い。
そして、ここまでの流れで一つ気づいたことがある。
「ねえ鯰尾、今回のバグってさ」
「主が日頃抱えてる煩悩が具現化してる可能性が高いと思う」
「だよね!」
ヘアコントロールが完璧なスーパーアイドルの篭手切江。料理の力で世界を救うクッキンアイドルの北谷菜切。カードをキ
鯰尾は苦笑しながら言った。
「俺、美少女になっちゃったっぽい」
「……え?」ャプターして戦う乱藤四郎。いつも私が脳内で思い描いていた姿だった。
「ねえ、鯰尾兄は大丈夫? 昨日手入れ部屋入ってなかった?」
「そうじゃん。どこか調子悪いところとかない?」
「……主、気づかない?」
「え、やっぱりバグ喰らってた!? 大丈夫!? 具合は!? 悪くない!?」
「そこは心配しなくて大丈夫。でも」
そこで初めて気づく。隣に立つ鯰尾の背丈がいつもより低いことに。輪郭の丸みに。
「俺美少女になっちゃった。主の好きな元気な黒髪ロングの美少女」