03 ララァ・スンという少女
夢小説設定
設定ストーリーの都合上名前が複数出てくる為、
前世の名前以外は固定です。
以下、
エステル・ヴェセーラ(〜U.C.0068)
アラヤ・ストロム(U.C.0068〜)
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・・
ララァ達と別れて私達はホテルに戻った。
ジェフも私も慣れない土地でアクシデントに見舞われたからかシャワーを浴びて少し話し合った後個々の部屋ですぐに眠りについた。
そして、朝目覚めてすぐ身支度を整え、電話で連邦の研究施設へ進捗の確認を行う。
休みといえど、情報は常に追っていかなければならない。
コーヒー片手に情報を書き留め、追加の支持を行っているといつの間にか時間が過ぎ、ジェフが私の部屋を訪ねてきた。
「アラヤ様、そろそろ行きましょう。」
「わかった。…ええ、はい。引き続き確認をお願いします。」
電話を置いてメモ達を鞄にまとめると私は部屋を出た。
ララァの所へ行かないと。
・・
集合場所へ向かうと、既にララァが到着しており、壁にもたれかかるように立っていた。
「待たせてしまってすみません。おはようございます、ララァさん。」
「あっ、おはようございます…!きょ…ほ、本日は精一杯勤めさせて頂きますので、よろしくお願いします…」
昨日とは違い、私を見ると畏まったように頭を深々と下げる姿にやはりかと思う。
金品をちらつかせる金持ち。
昨日の状況を切り抜けるためとはいえ、とりあえず状況を変えないと。
「ララァさん、今日は…いえ、今日からは"友人として"案内してもらいたいんです。だからまずは、友達になってくれますか?」
安心させるように身をかがめて手を差し出す。
「…!?でも、私は…」
「見えないと思うんですが、私、一応15歳なんです。恥ずかしい事に、友達も全然いなくて。」
事実、私は今まで仕事に力を入れ過ぎたせいで友達がいない。
10歳から起業し、自身の会社を大きくしようと多くの時間を犠牲にした結果が今だ。
仕事が絡む人間関係はほぼビジネスパートナーで完結してしまう。
「…困ったわ…」
両手で頬を押さえながら目をキョロキョロと彷徨わせているララァ。やっと素を見せたような気がする。
「私からもお願いします。アラヤ様に友達がいないなんて可哀想で可哀想で…」
悩んでいる様子のララァにそばにいたジェフも援護してくれる。(明らかに含みがあるし、悪意を感じる気もするが)
「ダメですよね…」
精神年齢が前世のままだと(自分も肉体は子どもだが)子どもの友達を作るのはとても難しいと実感する。
…とりあえず、友達が無理でも雇用だけはしっかりと守らないと。
しょんぼりと差し出した手を引っ込める。
「待って!なるわ!いえ、なりますっ、友達に…!」
ララァは引っ込めた私の手を両手で勢い良く掴み、自分の方へ引き寄せた。
私の手をギュッと握り、頬を赤く染めてこちらを見る姿にキュンとする。
「…本当に?」
「はいっ、本当にです!」
私から切り出したからには彼女は了承するしかないとだろう。
しかし、ここに来てはじめて友達ができた感覚にワクワクしてしまった。
しかも、1年戦争前のララァとだ。
「ふ、フフッ…アハハ!やった、よろしくララァ!友達だから堅苦しく話すのはなしでね!」
「え…! …どうしましょう…」
一層困った顔のララァの手を、今度は私が包み込むように両手で握る。
「約束は守るから、絶対。お願い。私だけ砕けた喋り方は悲しいな。」
顔を近づけて困った顔をすると、遂にララァは完全に折れたらしく、
「叱らない?」
と上目遣いでこちらを伺った。
それを見て私は大き頷き、ウキウキと答える。
「もちろん!今日からよろしく、ララァ!」
「…もう…」
変わった人。
ララァが心の中で呟いた言葉が聞こえた気がした。
・・
ララァはインドの有名な観光名所を教えてくれ、私たちは昨日のようにオートリキシャに乗って観光する事にした。
狭いオートリキシャの後部座席で私を挟んでララァとジェフが座っている。
「…!」
声には出さないが、通り過ぎる景色を興味津々に眺めるララァの姿を見てジェフと顔を見合わせて笑った。
彼女も幼いながらに相当苦労しているのだろう、景色一つ一つに感動している姿が可愛かった。
ガイドのお礼と言って、色んな料理を一緒に食べて、話して、買い物をして。
そうやって1日が過ぎる。
彼女を最後に帰宅させてその日が終わった。
・・
ララァと友達になってから、あっという間に日が過ぎていく。
最初はまだ慣れない様子で緊張していたが、沢山過ごす内に彼女は沢山話して、笑った。
「この写真、ムンバイにいる私の家族なの。」
「大家族だね。あ、この子がララァだ。」
ララァがふと写真を懐から取り出して見せてくれる。折り目のついたそれには、大人から子どもまで写っていた。
オリジンの時に見た写真よりも少し人数が少ないように思う。シャアよりも出会いが早いからか?
「弟も妹もまだ小さくて。…今はなかなか会えないけど、みんないい子だったわ。」
「そうなんだ。なら、ララァもとっても優しくていい子だね。」
ララァが寂しそうに見つめる姿に、どこか切なくなった。
「ふふっ、そうかしら。…あなたの家族は?」
ララァがこちらを見て尋ねてくる。
どういったらいいんだろう。
「私は兄弟がいないんだ。でも、両親は優しかったよ。あと、写真は無いけど、よく父に似ていると言われてたかな。」
写真も残っておらず、日々薄れていく両親の顔を思い浮かべた。
「今はどこに?」
「…どうだろう、とても遠い場所、かな。まだまだ会いにいけないんだよね。」
「そうなのね…ごめんなさい、私…」
ララァは何か察したようにシュンとし始めた。
彼女に非はない。
「気にしないでよ。ジェフがいるし、それに、ララァも友達になってくれたから寂しくないよ。…ララァこそ家族に会いたくない?ムンバイに行く?」
話を逸らすようにララァへ提案する。
監視の目がどこに潜んでいるかもわからない状況で、ヴェセーラ家の人間だとバレてはいけない。
「……いいえ、大丈夫。私が顔を見せたらきっと、お金の心配をするわ。上手く行ってないって…」
写真を親指で撫でながら答える姿に、話題を逸らすためだったとはいえ申し訳なく思う。
「…ララァ、私達で写真を撮ろうよ。」
「写真?」
キョトンとした表情でこちらを見つめるので、さらに続けた。
「家族写真とまではいかないけど、私とジェフとララァ…運転手さんも入れて、思い出を残そうよ。私は、ララァ達と過ごしてる今の時間がとても楽しくて大切なんだ。…どうかな?」
言い終えると途端に恥ずかしさが込み上げて来る。
チラッとララァの方を見た。
「…!」
「素敵ね…! 私、撮りたいわ、写真!」
星が散らばったような、とにかくキラキラとした笑顔だった。
思わず見惚れてしまう。
こんなにも嬉しそうなララァを見たのは初めてかもしれない。
私はその期待に応えるように、運転手にカメラが買えそうな場所を聞いた。
・・
「ほら見て!」
ジャジャーンと音が付きそうな勢いでララァにカメラを見せる。
彼女はキラキラとした表情で私の手に収まるカメラを見た。
「わぁ〜!」
「沢山写真を撮ろう!」
テンションが上がった私はさっそくララァの方へカメラを向けてシャッターを切ると、続けざまにジェフや運転手のおじさんを撮った。
「貴方が映らなくてどうするんですか、アラヤ様!」
「えっ!」
ジェフは私の手からカメラを取ると、すぐさま私にカメラを向けた。
カシャッと音がした時にはもう遅く、私は間抜けな顔を撮られてしまった。
ジェフを睨みつつ、今度はララァを引き寄せて二人で撮る。
「じゃあ、全員で撮ろう。」
何枚か写真を撮った後、今度は全員で映るために女性に話しかけて写真を頼んだ。
わざとサングラスを外して近くにいた女性にさつえがを頼めば、女性はすぐに了承してくれる。
全員で横に並び、笑顔を浮かべる。ララァは少しソワソワしていたが、それでも嬉しそうだった。
…旅行もあと少しで終わる。
女性からカメラを回収して画像を確認すると、家族写真のような温かみのある1枚があった。
もう少しだけこの時間が続きますように。
心の中でそっと願いごとを唱える。