02 仕事を休んで旅をせよ
夢小説設定
設定ストーリーの都合上名前が複数出てくる為、
前世の名前以外は固定です。
以下、
エステル・ヴェセーラ(〜U.C.0068)
アラヤ・ストロム(U.C.0068〜)
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・・
「アラヤ様、システムの入れ替えについて問い合わせが。それから、本日午後から入っている商談についてですが、急遽連邦関係者も参加するとの事で…」
「わかった。新しい依頼が入るだろうし、スケジュールの確認してほしいな。それから、このシステムについてだけど…」
U.C.0073
サイド6に来て5年の月日が流れた。
発展途中のサイド6は少しずつ変わっていた。
ジオン自治共和国は統治者が空席となった後、ザビ家が引き継ぎと称し、主導している。
そうやってダイクン派とザビ派の対立がますます深まり混乱する国内で、私の両親は暴動に巻き込まれる形で亡くなったそうだ。
詳しい最期を知る事すらできず悔しいが、一番辛いのは"私"ではなくエステル本人だろう。今は無理でも、いつか何らかの形で知りたいとは思う。
両親が亡くなったとはいえ、ダイクン派であるヴェセーラ家の子どもである私も安全ではない。
だからこそ、エステルの為に私はエステルを殺した。
両親の悲劇を聞き、ショックのあまり自害した事にし、カヴァデールに処理を頼んだ。
そうして私は、エステル・ヴェセーラから、アラヤ・ストロムに、トーマスはジェフ・ライトに生まれ変わった。
カヴァデールの今は亡き親友の子としてサイド6の住人になり、コロニー発展へ向けて技術面で貢献している。
また、独自で研究も行っており、サイド6で数少ない、ジオンや連邦関係なく交流している為独自の地位を確立した。
初めて人を殺めてしまったあの日から、私はとにかく必死で働いたのだ。
あの日の出来事を無かったことにはできない、だからこそ。
・・
「やあ!アラヤ君、久しぶりだね!!どうだね、最近は?」
「ご無沙汰しております。お陰様で何事も無く過ごせていますよ。」
握手を交わしながら取引先の男性と談笑する。
「また背も伸びたんじゃないか?…しかし、相変わらず細いよ、君!もっとしっかりと食べなさい!」
今は髪色や性別、喋り方を変え、男として生きている。
この5年で背がかなり伸び、今では170cmを超えて何とかそれらしくなった。
「ありがとうございます。仕事に集中し過ぎて忘れてしまうので…気をつけます。 」
体型のわかりづらいスーツを纏って生活しているものの、男女の体格差は違うんだと実感する。
何気ない会話から、取引の内容に移り変わる。
いくつか資料を交えながら話を進め、最後は握手で締める。
時刻は昼時で、お互い立ち上がり挨拶を交わす。
「それではまたよろしく頼むよ。…そうだ、うちの娘が君にまた会いたいと煩くてね。今一緒に来ているんだが…」
「アラヤ様、お時間が…」
ジェフが間に入り、次を促す。
「申し訳ありません、予定が詰まっていて。…今お嬢様はどちらに?」
ジェフにやんわりと片手でストップをかける。
完全に断るのは相手の面子が潰れる為できない。
忙しさを出しつつも、前向きな発言をする事で相手への誠意を表す。
「ああ!どうしてもと聞かなくてね、実はもう下に…」
「…はは、そうですか。なら、行かないと。」
既に連れてきているというのだからこれも目的の一つなんだと思うと気が重い。
・・
「ロア、待たせたね。」
「お父様、遅い……きゃっ、あ、アラヤ様!!!」
男性の娘、ロア。
私の姿を見つけた彼女は恐るべきスピードで私に近寄る。
「アラヤ様、私とっても会いたかったんです!」
「こらこら、ロア、落ち着きなさい。予定が詰まっている中会いに来てくれたんだぞ。」
フリフリのワンピース姿。
彼女は私の右手を両手でギュッと握って離さない。
「やだ、私ってば…そうだったんですね!」
キラキラとした目でこちらを見てくる彼女に多少の申し訳なさを覚えつつ、笑顔で誤魔化す。
「あまり時間が無くて申し訳ないです。そうだ、この近くに料理がとても美味しいレストランができたんです。また紹介させて下さい。」
「ぜひ!楽しみにしています!」
私の手をさらにギュッと力を込める彼女に笑顔を向ける。
「アラヤ様、そろそろ…」
「わかった。…では、そろそろ次がありますので失礼いたします。」
男性の方へ軽く会釈した後、目の前の彼女の手にやんわりと握られていないもう片方の手を重ねる。
「また会いましょう。」
そう言ってそっと彼女の手を解く。
別れを惜しむ表情を見て罪悪感が募る。
エステルは顔が良い。
男として生活を始め、年月が経つと女性にモテ始めてしまった。
彼らから足早に離れ車に乗り込むと、ジェフが呆れた表情でこちらを見ている。
「そこまで構わなくてもいいのでは。」
「これも仕事の為だからね。」
「そうは言いますが、アラヤ様に夢中なご令嬢が何人いると思ってるんですか?」
あまりの正論に頭痛がした。
「…そろそろ気をつけます。」
ジェフは私の一言に、"そうしてください"と言うと車を発進させた。
サイドミラー越しにロアの姿が見えたが、気づかないふりをする。
「そういえば、この後会う方についてですが…」
「ああ、それだけど新しい依頼が入ると思う。しかも、それを行う場所がね、凄いんだよ。」
ジェフは真剣な表情で考え始めたものの、すぐにハッとなってこちらを見た。
「…まさか…!」
「そのまさかだよ。」
窓の外を眺めながら、この後の事を考える。