小説あとがき

禍祓いの影札(カグラバチ連載)

2026/06/27 16:30
禍祓かばらいの影札かげふだ
 ご覧いただきありがとうございます。
 まずは、読んでくださった方に感謝を。本当にありがとうございます!
 短編のつもりで始めましたが、あれよあれよと3万字越えの中編に……。

 男装夢主と不器用ヤンキーのバディ・ダークファンタジー、という感じの作品になりました。
 もちろん『カグラバチ』を読んでいる方に楽しんでもらえたら嬉しいのですが、原作未読の方にも一本のダークファンタジーとして読めるものを目指して執筆していました。
 もっともっと『カグラバチ』広まってくれ!!という気持ちでいっぱいです。
 厚かましい話ですが、この作品をきっかけに「カグラバチ、ちょっと気になるな」と思ってもらえたら、もう本当に嬉しくて昇天します。
 好きな作品が、誰かに届いて、また誰かに繋がっていく瞬間って嬉しいよね。みんなで耕していこう、カグラバチの畑。


◎本編のお話

 さて、本編の話に参ります。
 きっかけは、本当に単純にナツキの話が書きたいな、でした。
 当初は男装している夢主が、ナツキに気に入られて風呂行こうぜ!遠慮すんなって!ってお前女?!は、はやく言えよ!みたいな感じのコメディ話でも書くか、と思っていたのですが、風呂といったら双城だろ!となり、結果的に双城の話が先にできたのもいい思い出です。
 何となくのプロットだけ組んで、放置していてごめんナツキ。

 せっかくだし、夢主の戦後の神奈備との関係性が分かるような任務を、ナツキと一緒に行ってもらおう。そう思ったところから、色々と広がっていきました。

 背中合わせで戦ってほしい。名前の呼び方や、相手への態度にこだわるナツキが、自分から呼び方を指定することはあるのか。そもそも、あのナツキがそこまで踏み込むことってあるのか。神奈備が一枚岩でないこと、毘灼との繋がりや嘉仙の裏切りをおわせておこう……などなど考えていたら、どんどん妄想が膨れ上がりまして。
 気が付いたら、こんな感じに。一つの事件は解決したが、より巨大な悪意の歯車が回り始める。今後の原作沿い長編に向けた序章みたいなものになりました。
 毘灼、神奈備、神奈備の闇、夢主それぞれの思惑が錯綜しまくりました。全員が前の奴の後頭部を殴ろうとしている「だるまさんがころんだ」高難度バージョンみたいになってしまった。そんな中でただ真っ直ぐ脱いでくれるナツキは光でした。ありがとうナツキ。
 毘灼も絡んでいますし、一応、六平邸襲撃の1~2年前くらいの想定で書きましたが、ナツキが戦後すぐ十河隊の隊長になっていたりしたら土下座です。
 読み返しておん?ってなるところもきっとあると思うので、ひっそり修正をしている気もします。
 


◎モブ隊長と夢主について

 今回登場していただいたモブ隊長ですが、神奈備という組織を体現したような人として書いていました。夢主と隊長は、平和を願っているという点は共通しています。
 お互いに願っているはずなのに、立脚する場所が違うために相容れない。どちらかが完全に言い負かされるのではなく、互いに正論で殴り合い、どちらも傷つく平行線。
 そして、隊長は帰結主義というか功利主義で、夢主は倫理的な義務論。犠牲なき平和は可能か、この議論に、絶対的な正解はないと思います。ただ、個人の尊厳を蔑ろにした平和は、滅びへのカウントダウンでもあり得るかなとは思います。
 また、強者の理想論や救済論ですが、力なき凡人には時に不相応な自己犠牲を強いる毒にもなる。全部だ!ができるのは、力があるから。だからこそ、力を求める者もいる。けど得た力をどう使うか、その力のベクトルも大事ですよね。力を持った時点で、それを使えば誰かを傷つけ、何かを壊すこともあります。難しいです。
 なんて、少し堅苦しいことをコネコネしましたが、お互いに一歩も引けない二人のぴりついた空気感が少しでも伝わっていたら嬉しいです!

 夢主は神奈備という組織ではなく、常に人を守っている。人や国を守るためなら、組織は別に壊れても構わない。こんなスタンスの夢主ですので、原作沿い長編夢を書くとき色々好き勝手していきます。



↓↓以下、没案となったものたち(長いので閉じています)↓↓
【研究員の背景とか】

第13話の「神奈備の影札」ですが、当初は倍以上の量がありました。書き終えた後に、焦点ぶれるかもな、と思って、長いのもありカット。
死別した家族と、もう一度会いたい一心で始めた研究。一度、男は研究をすべて放棄し、データを抹消して逃げようとした。だがその研究に目を付けた者たちがいた。人形も、元は彼の研究によるもの。死んだ人は生き返らないといった問答をいれようかと思いましたが、カット。
他の研究員や首飾りとか敵の妖術師もね、色々と考えてはいたのですが、あくまでモブですし……。妖術師が言っていた「あの方」は毘灼(北兜さん)です。
エピローグの北兜さんの発言あたりで、少し匂わせるくらいに落ち着きました。


【隊長のその後】

引退を聞かされた数日後、あるいは数週間後。隊長が田舎へ帰ったらしい、という噂を人づてに聞く。けれど、直感だけが「そんなはずはない」と叫んでいる。決定的な証拠は何もない。それでも、そこにあるはずだったものが、音もなく消えてしまったような感覚だけが残り――彼が処断されたことを悟る。……という感じの話も考えていました。
ただ、あまりにも救いがなさすぎるかなと思ってカットしました。隊長も一応モブですし……。


【怪我をした夢主をみたナツキの対応】

怪我をした主の左腕を一瞥して、いつもより明らかに低い声で機嫌を悪くする。かすり傷と笑う主に、自分の上着を引きちぎって、悪態をつきながらも絶妙な力加減で巻きつけてくる。そんなシーンを書こうかとも思ったけど、ナツキ袖ないじゃんwwってなったので没。


【ナツキの後日談】

「……なぁ、もし、万が一の話だぞ? 凄腕の男の戦友だと思ってた奴が、実は女で、しかも自分がそいつに川で脱げとか迫ってた場合、男としてどうケジメをつければいい?」と死にそうな顔で相談するナツキ。相談先が決まらずやめました。
候補は、薊さん、座村さん、イブキさんあたりでした。けれど、ナツキが彼らと原作で会話しているシーンがほとんどない!!どう呼び合っているかとか口調とかも。漆羽さんも考えましたが、漆羽さんとナツキの夢主に関する話は、また別のを書いているのもあるので、なんか違うなとなって。斬ちゃんとか女性陣は?とかも考えましたが、ないな、となって。(斬ちゃんや緋雪ちゃんたちもいつか書きたいです)
座村さんや薊さんなど、夢主と面識のある人たちなら、全部察して、「ああ、アイツと任務に行ったんだな……」とニヤニヤしながら、「腹を切るか?」とか言ってナツキをからかう場面も、少し書いてみたかった気がします。
結局、
さあ過去の失言がフラッシュバックしていく!おっと音量を上げる悪あがきだぁー!「落ち着け、冷静になる巳坂奈ツ基ィ!(※セルフ実況)」あーっと!イブキの襲来!詰みました!ここでアクセル全開、インド人を右に!!
といった感じになりました。




◎最後に

 最後になりますが、改めまして、ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。
 カグラバチの夢小説は、これまで細々とちまちまと書いていたのですが、最初の頃はずーっとアクセス数0で……。「読者、自分だけじゃん! ウケる! 最高!!」くらいの気持ちで、好き勝手にのびのび書いていました。
 それはそれでめちゃくちゃ楽しかったのですが、最近は1、2ほどの神様がいて、本当にありがたいです。やっぱりアニメ化の影響なのかな? ありがとうございます。
 もちろん、誰にも見られず自由気ままに書く時間も大好きです。でも、オタクなので誰かと一緒に「カグラバチっていいよね!!」って叫びたい気持ちもあります。
 好きなものを好きって言える場所があって、同じ気持ちの方と少しでも共有できたら嬉しい!

 最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
 次の長めのお話は、以前ちらっと言っていた『ロクの冥約』とのクロスオーバー中編を書きたいと思っています。(寂寞の約束の続きにあたります)
 今回と同じくらい、もしくは少し少なめくらいの分量になる……予定です。たぶん。ラストシーンだけは書き終えている謎現象。

 ありったけの愛をこめて。
「ラブ・ユー (愛すぜ お前をな)」

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