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「みてみてサガ!カノン!ケーキ買ってきたよ!あ、私がこれね。で、サガとカノンはこれとこれ。限定品だからね!ケーキ求めて三千里。あ。けど、聖闘士ならどんな距離あっという間か。うーん、ならケーキ求めてエリシオン!え?今日はどうしてこんなに上機嫌かって?ふふふ。よく聞いてくれました!何を隠そう今日は私の大切な日だから!」
自分の口で登場音をかまし、この双児宮にたのもーなんて言葉を喚きながら勢いよく入って来たなまえ。挙句、俺たちに詰め寄って白い箱に入ったケーキを見せびらかし、勝手に話をしている。しかも中に入っているケーキはどう見ても全て同じものだ。
いつも以上に締まらない顔をしてハイテンションななまえに、隣にいたサガも目を点にして読んでいた本を落としそうになっていた。
「相変わらずやかましい奴だ」
「そう言って嬉しいくせにー」
「どこがだ。早く帰れ」
「この十二宮の最初の方まで遠路遥々来たんだよ!会えて嬉しいでしょ!」
「お前と出会ったのは俺の人生の間違いの一つだな」
「またまたーそんなこと言って!出会わなければよかったは、辞書では愛してるって意味でしょ。知ってる知ってる。照れるなあ」
「おいサガ。この馬鹿をどうにかしろ」
「まあ、なまえだからな。今更どうこうもできまい」
「サガーそういうのが一番つらい!」
困り顔で答える兄の一言になまえが心臓を突き刺されたような動作をして喚く。
「だが、今日は特に楽しそうだななまえ」
「それはもう!サガとカノンがいる。もうその事実が私にとって幸せで堪らないんだよ!」
「?私たちが?」
「ずいぶん陳腐な幸せだな」
「何言ってるのよ!いつも天上天下唯我独尊のくせに、こういう時は謙虚になっちゃて」
「あ?」
「ちょっと!脳みそ潰れるから!」
「そもそもないから問題ないだろ」
人差し指を天上にかざしながらしたり顔をするなまえに腹が立ち頭を掴む。そんな俺達を横目にサガは、冷静に冷蔵庫へケーキの入った箱をしまっている。
「そもそもなぜ私たちにこれを?」
「だって二人が大好きだから!お誕……ああ!これはまだ言っちゃダメだね。というわけで、今から行くよー!」
「どういう訳だ」
「なまえ、そもそもどこに行くんだ?」
俺たちを立たせ、挟まれるような位置に立つなまえ。俺たちの腕を掴み、アテナの間!と満面の笑みで溢し伝える。
「皆も待ってるから!私はヘルメス神の如く、その大切な役目を仰せつかったのよ!」
「ヘルメスに謝れ」
俺の言葉も聞く耳持たず、レッツゴー!と手を引き駆けだすアホ面。ケーキは後で3人で食べようねと、言外にまた双児宮に来ることを告げてくるなまえ。
双児宮を飛び出し、乾いた風に髪を靡かせ、鼻歌でも唄うように楽し気な背中を見つめる。
掴まれたこの手を振り払おうとするのは容易い。だが、その手に引かれ十二宮を登るこの時間がどこか心穏やかだ。隣で穏やかな顔をして、アイツのペースに合わせて歩んでいる兄。
なんやかんやで俺達二人はこの馬鹿に絆されている。
「私の大好きなサガとカノンに、どうか祝福を!」
長い道のりを経た後、そんなことを言って嬉しそうに跳ねあがり、アテナの間の扉を勢いよく開けるなまえ。
「誕生日おめでとう!」
なまえの満面の笑みと共に、扉の先から仲間たちの言葉が耳に飛び込んできた。
Happy Birthday !!
2023/5/30
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