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最近イライラしていることが多くなった。もともと気は長い方ではないが、最近は殊更。理由は明確だ。新しくきた侍女、なまえのせいである。
聖戦も終わり世界もそれなりに落ち着いた今。教皇の間に仕えていたが、転属され、双児宮にきた侍女。
己が教皇となるから、やって来たのかと始めは思っていたが、ヤツが来て数日、どうやらそうでない気がしてきた。
教皇の間に使える侍女は優秀な者ばかりだ。それが十二宮の侍女にまわされるということは、何かしら不祥事を起こしたからか。そう問われたヤツは、それはご安心下さいと、すっぱりと答えた。
「セージ様に、毎回毎回控えの間から教皇の間に行くのは遠すぎるから、次に配属替えがあったら十二宮の始まりあたりにしてくれ、と言っておいたら此方になりました」
ああ。マニゴルド様が巨蟹宮に来いなどしつこく可笑しな事をおっしゃってましたが、しつこ過ぎたので丁重にお断りしました。などと、すっと呆けた顔で言うのも腹が立った。
今日も爽やかな朝だ。
デフテロスの眠っている姿を横目に、今日の任務に向かう。
ふと、先日購入した本の整理が終わっていない事を思い出した。どうするか。不本意だがヤツを呼ぶか。第一、此処に既にいるのか?無駄に小宇宙を読ませないヤツに腹が立った。
「おい」
「何か」
「………」
なぜ、コイツは後ろに立っている…。いると思わなかった分も、腹が立つ。そもそも、どうやって現れたんだ。考えれば考えるほど、やっぱり腹が立つ。
教皇がかなり優秀などと言っていたが、変な意味でだったのか。
黙ってヤツを凝視していると、ヤツは眉間に皺をよせた。おい、それが主人に対する態度か。
「特に御用がないのに、呼んだのですか。全く困りますね」
おじいちゃんじゃないんですから。などと、哀れんだ目を向けながら言うのに腹が立ったので、とりあえず舌打ちをした。
「またそんな事をなさって。デフテロス様が真似をなさいますよ?」
「なぜ、デフテロスがでてくる」
「呼んだか?」
「デフテロス、起きたのか」
「おはようございます、デフテロス様」
「ああ、おはよう。兄さん、それになまえ。今日も早いな」
「いえ。当然の勤めでございます。朝食の支度ができております。どうぞ」
「いつもすまない。あまり無理はするなよ」
「おい。お前、デフテロスの時と私の時で態度が違うぞ」
「?」
「とぼけた顔をするな!おい!待て!」
任務に遅刻なさいますよ、と笑顔を向け、そそくさと去っていくヤツ。
クビだ。クビにしてやる。
「ああ、そうでした。アスプロス様。先日購入なさった本が散らかっておりましたので、整理しておきました。お暇がありましたら、ご確認を。不備がありましたらお申し付け下さい」
そういい、完全に奥に消えた。
クビにするのは、いつでも出来る。また今度でも良いかもしれない。そう思っていると、またあの顔が現れた。
「いつまでそちらに突っ立っていらっしゃるのです?……ああ。成る程。ご安心下さい。ベッドの下等、これといって必要のない場所は見ておりませんので」
前言撤回。やっぱり即クビにしよう。
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