第一章
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「おっはよー」
「おはようまつ。相変わらず朝から元気だね」
「元気だけが取柄ですからねー」
「鶏ガラスープおいしいよね」
「……」
さわやかな朝。今日もいい一日なりそうだ。
そんな中、こちらをちらちら見てくる視線に気が付く。
「なんか滝くんものすごくこっち見てるけど」
「ね。その割には目線合わせないし何してんだ」
「おーい滝。何もじもじしてんのよ。きもいわよ」
そう私たちに声をかけられ、ぎこちなく滝が近づいてくる。近づいてきたはいいものの、相変わらず何かを話そうと口を開くがすぐ口を噤んでしまう。そんな挙動不審の滝の行動に、私たちの頭には疑問符しか浮かばなかった。
仕方ないとため息をつき何かあったのか聞こうとしたら、突然頭を下げてきた。それも見事な直角。
「おーきれいなお辞儀」
「ど、どうしたの滝くん?」
滝?と私が口にしたら、今度はまた勢いよく頭をあげた。そして「ごめん!」と大きく声を発した。
「?何なのさっきから。話がみえないんだけど」
「それが……」
滝がぎこちなく、テニス部に今日練習を見に来るように言われたことを話す。
「はあ?!」
「ちょ、なんで?!」
「そんな接点ないだろ。なんなんだあいつら」
「何を考えているんだろう」
「なんか、テニス部に興味がないことに興味を持ったみたいで」
なんだそれは。意味が分からん。相変わらずぶっ飛んでいる。理解不能だ。今までなるべく関わらないように身を潜めていたのに何故。
「何考えていやがる」
「それで……。ほんとにごめん」
「それ、なんの謝罪?」
「色々あって、テニス部に君たちが苦手意識を持っていることを伝えてしまったんだ」
申し訳なさそうに言う滝はまた頭をさげた。なんだ、てっきりもっと変なことかと思っていた。
「なんだそんなことか」
「え?」
私の言葉に滝が顔をあげ、ハトが豆鉄砲でも喰らったかのような顔をしている。
「いや、だって普通に私たちの態度でわかるでしょう。昨日とか、跡部が来た時のたけの顔、すごいことになってたよ」
「どんな顔だよコラ。それを言うなら、うめだって白目向いてたからね」
「むいてないよ!」
「だから滝が気にすることはないよ。隠してないし」
「どうせあいつ等のことだから問答無用になんか命令されたんでしょ」
「滝くんどんまい」
口々に言う私たちに滝は安心したような顔をしている。真面目な奴め。
「けど、どうしようか。困ったなあ」
「だな。奴らは無駄に頑固っぽそうだから絶対に逃げられなさそうだし」
「うーん」
考え込んでいるなかで、先ほどの滝の言葉を思い出した。テニス部に興味がないことに興味を持ったみたい、と言っていた。
そうか、なら……
「よし、いい作戦思いついたよ」