第四章
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俺は報道委員会委員長。今回、1学期最後の校内新聞に、関東大会を控える氷帝テニス部突撃インタビュー特集を組むことになった。
関東大会を控えた彼らに、助手の副委員長と共に、この俺が直々にインタビューしてくるぜ。ちなみにこの特集を猛プッシュしたのは副委員長だ。彼女はテニス部の親衛隊だ。
氷帝男子テニス部は校内で男女問わず多くの憧れの的である。その見た目ももちろんだが、努力に裏付けられた実力、特に跡部くんのカリスマ性は凄いと思う。親衛隊がいるのも頷ける。けど、モテるのも大変だな、と平凡な俺は思うぜ。
なんでもその親衛隊といっても、色々派閥があるらしい。よくわからないが、過激派の親衛隊がいるらしく、その親衛隊がテニス部に迷惑をかけたらしい。それ以降、少し親衛隊が活動しにくくなったため、名誉挽回するために、私たちは純粋に応援しており潔白であると示したいようである。
報道委員会にはテニス部2年生レギュラーの日吉がいるが、彼はクールに見えるが、実は熱いやつだし、少し不思議なキャラをしているところも可愛げがあるやつだ。写真はよく分かんないのばかり持ってくるけど。
「いざ出陣!」そう意気込み副委員長とともにテニス部に突撃する。
それぞれ練習に集中しているため、練習中はやめるのがマナーと副委員長がいう。流石です姉御。合間を縫って迷惑でない範囲でそれぞれに質問をしていく。
皆の練習量を見させてもらうと、どれもえげつないメニューだった。俺だったら途中で吐き散らかすかもしれない内容だ。
まずは後輩でもあり我が報道委員所属でもある日吉から行った。締めは跡部くん。副委員長もどぎまぎしている様子だった。
どのメンバーもやる気をみなぎらせていた。そして、皆が3人のマネージャーの話題をあげた。忍足くんと向日くん、芥川くん、鳳くんはうめうめちゃんと梅木さんのことを特によく話していた。特に忍足くんの目は怖いくらいガチだった。あの無口そうな樺地くんでさえ、跡部さんがまつさんをよく気にかけていると喋った。
4月からマネージャーをしている松山さん、竹川さん、梅木さん。テニス部からスカウトされた彼女たち。クラスメイトとの会話で、誰か好きな人がいるかといった話の時に名前が挙がっていたこともある3人だ。レギュラーたちの話の内容から、彼女たちが大切な存在であることは俺でも分かった。
ある程度レギュラーたちへのインタビューが終わり引き上げようとしたところ、マネージャーの松山さんを見かけた。
「あ、編集長と副編集長。何してるの?」
「まさかの編集長呼び。まあ間違っちゃいないかもだけど」
「氷帝テニス部の特集を組むから、それの取材にきていたのよ」
「そうなんだね。お疲れ様。皆やる気ばっちりだったでしょう」
「それはもう熱く語ってもらいましたよ」
「変なこと言ってないといいけど……。次の新聞も楽しみにしているね」
「おう!この編集長に任せとけ!」
はじめてこんなに松山さんと話すが、明るくて話しやすい人だ。
「松山さんみたいなマネージャーがいてくれてよかったわ」
「副編集長、どうしたの急に?」
「あーこいつ親衛隊だからさ」
親衛隊、と呟く松山さんの目に少し警戒の色が浮かぶ。
「あ、前のアホ共とは違う親衛隊派閥だから安心して。今まで氷帝のテニス部ってマネージャーいなかったから。いや、まあいたはいたけど、あれらはノーカンね。私たちも彼らをサポートしたいって思ったけど、マネージャー業をこなせる自信がなかった。意外とハードでしょう。だから、応援するくらいしかできない」
そんな中、彼らを十分にサポートしてくれているあなたたちがいてくれて嬉しいと言う副委員長に、松山さんは驚いている。
「親衛隊って言っても色々派閥があるんだね。親衛隊って聞いて、少し警戒しちゃった。ごめんね。けど、ありがとう。そう言ってくれて、私たちのやってることは無駄じゃないんだって思えるよ」
そう笑顔でいう松山さん。素敵だ。それから松山さんは、副委員長に「応援するくらいしか、なんて言わないで欲しい。それで十分」と言うあたり、本当に素敵な人だ。
「松山さん。期間限定のマネージャーなんだよね。是非テニス部のマネージャーを終えたらサッカー部に来て欲しい!」
「アンタは何言ってんの!まずはアンタがレギュラーになることから始めなさい」
副委員長に叩かれた。そして、松山さんには苦笑いされながら断られた。くそう。
「載せたいけど、これ松山さんたちがまたアイツ等に色々言われそうだからやめときましょう」
そう副委員長が言い、マネージャーへの思いは内容的に過激派親衛隊の怒りを買いそうなのでお蔵入りとなった。残念。
後日発行された校内新聞では、マネージャーへの思いが全く触れられていないことに、レギュラーたちは少し不満をこぼしていたという。