第五章
Name Change
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いよいよ関東大会がはじまった。
今日は初戦。青学との戦い。まさかの上位校同士の対決であり、実質決勝や準決勝カードだとも一部では囁かれていた。それもあり、ギャラリーが初戦とは思えないほどの人数だった。
皆がこの日に向けて調整してきていた。
今日は初戦と言うこともあり、この前正レギュラー入りした日吉は控えだった。
氷帝コールが響き渡る。
「相変わらずの応援だな」
「ここまで貫いて皆でやっていると違和感もちょっと薄れるね」
「混ざってきてもいいよ」
「絶対にやだー」
そんな会話をしながら青学側の方を見ると、何か変な様子だ。
隙間をぬって私は挨拶をしにいく。
「不二、今日はよろしくね」
「たけ。まさか、初戦で当たるなんてね……」
そう苦笑いをしながら不二は言う。気にせず全力で当たると伝えると、僕も全力でいかなきゃねと笑顔で返される。
そして、不二から青学で今起こっていることをきく。なんと大石がまだ来ていないらしい。あと15分。間に合うのだろうか。
そんな彼らを心配をしながら氷帝の方に戻る。大石から連絡があったのだろうか、桃城が走ってどこかに行った様子をみた。
息を切らし戻ってきた桃城はレギュラージャージをまとっていた。あれ、桃城ってこの前の青学レギュラーとの合宿でいたっけ?そんなことを思っていると、なんでも大石が妊婦さんを庇い右腕を負傷したらしい。それで大石が桃城にレギュラーを託したとのことだ。
直前にメンバーチェンジが起きるという事態があったが、氷帝対青学の試合がついに始まった。
第1試合。ダブルス2は向日と忍足。対する青学は菊丸と桃城だ。本来は菊丸と大石という黄金ペアであったのだろう。
「アクロバティックプレー同士のぶつかりあいか」
「向日ー飛んで来いよ!」
「あたり前だ」
「忍足くんも頑張ってね」
「任せとき」
はじめは押していた氷帝。しかし、徐々に相手に押され始める。
「大石がいないのにまるでいるみたいだな」
「なんか菊丸くんと桃城くんと大石くんの3人でやっているみたいだね」
盛り返してきた青学に、短期決戦型の向日の体力の限界が来た。
忍足が挽回しようとするも、氷帝は敗れた。
ベンチに戻ってきた二人にうめがタオルやドリンクを渡す。すまんと二人とも謝っていた。
第2試合。ダブルス1は鳳と宍戸。今回、レギュラーに復活した宍戸はやる気に満ちていた。先ほどの敗退でどよめく応援に喝を入れていた。
鳳はスカットサーブを決めながら、着実にポイントをとっていく。それに喰らいつく青学。
「海堂は諦めの悪い性格だろうからね」
鳳のスカットサーブを仕方ないと言う乾に対し、執念で打ち返そうとする海堂に対してまつが言う。そしておもむろに乾がリストバンドを外した。どうやら重りが入っていたらしい。滝が乾のサーブのスピードを計測し「早い」と呟く。
乾の超高速サーブを鳳が返し、宍戸がダッシュで返球する。強烈なライジング。いつの間にあいつはあんなのを身に着けていたんだ。
「あの二人、一緒に特訓していたけど、ダブルスコンビとしてぴったりだったね」
「鳳に感謝だな、宍戸」
そんなことをまつと言いながら、試合を見守る。
「精神力や執念、海堂もすごいけど宍戸も負けていないからね」
海堂はやけくそになっているように見えるが、まつは乾が気になると呟く。そうしているうちに、乾が「データは揃った」と言い、徐々に宍戸たちが押され始める。海堂のスタミナがあることで成り立つ乾の情報収集からのデータテニス。こちらもなかなかのダブルスなようだ。
鳳は力みすぎたのか、サーブの失敗が続く。跡部が「あれは鳳の癖を見抜いた乾がポジションをとっているからだ」と見抜いた。確かに、空いている場所に入れようとすればするほど、鳳の癖が出て失敗のリスクが高くなる。
乾がリターンした球で青学側にポイントが入る。しかし、乾が審判に待ったをかけた。確認したら、ギリギリでアウトであり氷帝側のポイントとなった。そして、激しい打ち合いの末、宍戸と鳳が勝利した。
ベンチに戻ってきた二人に軽くハイタッチをする。
第3試合。シングルス3樺地の出番だ。聖ルドルフでは相手の木更津と言う選手のドロップボレーを見ただけで真似した様子は記憶に新しい。
「いけ樺地」といい「ウス」と返す樺地。ラケットを握り燃える河村に対して無の樺地。
「そこは何か反応してあげて樺地」
「けど樺地くんがバーニングとか叫んでたらヤダな」
「確かに」
純粋故に相手の技を吸収しものにする樺地。とんでもない奴だと改めて思う。
そして、波動球というとんでもない打球の打ち合いが始まった。
危険な片腕の波動球勝負。青学を勝利へ、なんて執念なんだ河村。そんな中、樺地がラケットを手放した。河村の執念が樺地の腕を上回った。しかし、河村も同時に限界を迎えていた。
「ノーゲーム。こんなこともあるんだね」
「ああ。なんて試合なんだ」
「樺地、お疲れ様。アンタすごいね」
そう言い、まつが樺地の腕を冷やす。樺地はそんなまつを見つめている。
大石が河村と一緒に樺地を病院に連れていくと言い、跡部が許可し樺地は病院へ向かうことになった。まつが「私も行こう」と言っていたが、樺地が「まつさんは、跡部さんの傍に」といい大石と河村と共に会場を後にした。
河村の血濡れたラケットを不二が握る。どうやら不二はそのラケットを使って試合をするらしい。
第4試合。シングル2芥川。以前、不二が氷帝と戦うときは弟と戦った芥川と戦いたいと言っていたのを思い出した。手首の柔らかさから特殊なボレーを打つ芥川。
不二のテニスに興奮する芥川。丸井が氷帝に来た時のようなテンションだ。まじまじスッゲーと言いながら、試合中に関わらずうめに抱き着く芥川。離れろとまつとともに引きはがす。「こら君」と審判に注意され「恥ずかC」と言う芥川にこっちが恥ずかしいわと氷帝の皆で突っ込みを入れていた。
ベンチにいる越前に対してトリプルカウンターの最後の一つを見せると宣言する不二。
「あれが白鯨」
相変わらず底知れないね不二。と微笑みかける。
負けた芥川は悔しいだろうな、とみると「すばらC」と興奮していた。なんじゃこいつ。
こちらを見てきた不二に「やるね、不二」と微笑みかける。
樺地と河村が戻ってきた。芥川の敗北にショックを受けている様子だ。
次はシングル1。跡部と手塚の部長対決。これで跡部が負けたら氷帝の敗退が確定する。
跡部が静かに立ち上がる。その目は真剣そのものだった。まっすぐに手塚を見据えている。
「勝者は跡部」「敗者は手塚」
そんなコールが会場に鳴り響く。