第四章
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
青学との合宿、立海との練習試合を終えた後、関東大会が控える私たちはまた別の戦いを繰り広げていた。
そう、それは1学期の学期末テストである。
部活動停止期間に入り、私たちは今部室でテスト勉強をしている。はじめは誘いを断ったが、鳳がうめとどうしても一緒にやりたいと泣きついてきたため共にすることになった。
中間テストはちょうど地区予選が終わり都大会が始まるかといった頃だった。あの時はテニス部ともまだ距離があった頃だったため、部室で一緒に勉強をするなんてことはなかった。
うめはテスト期間に入ったため、眼鏡に切り替えている。鳳が眼鏡姿のうめに可愛いですなんて言いながら喜んでいた。
「うめ、眼鏡なんてお揃いやん」
「お前は伊達眼鏡だろうが。形も全く持ってお揃いじゃないし」
そうたけが突っ込みをいれていた。
日吉も目が悪いらしく、今日の勉強の時は眼鏡をかけていた。
「日吉の眼鏡姿なんて珍しいね」
「中学入ってから急に視力が落ちたんです」
「前髪切ってあげようか?」
「やめてください」
そんな会話をしながら勉強をはじめる。
ものすごい集中力をもって勉強しているうめに、誘った鳳もびっくりしている。
「うめは国語に関しては学年1位だからなー」
「たけは感心してないでやりなさい。また赤点ギリギリになるよ」
「くっそー分かってるよ!もう、まつーこれ教えてよー」
たけが指さす問題に目を通すと、数学の問題だった。考えるポイントや手立てを簡単に伝える。
「あー……ちょっとわかったかも!やってみるわ。Thanks」
相変わらず発音のよろしいことなんて思いながら「はいよー」と返事をする。私も自分のやろうとしていたものに取り掛かろうとしたらテニス部の皆が私たちの方を見ていた。
なんでしょうか、なんて言うと。各々が口をひらく。
「いや。普通にうめの勉強姿にも驚いたが、国語学年1位だったことにもビックリだぜ」
「まじまじスゲーうめ」
「帰国子女なだけあってたけは英語ペラペラなんだろうな」
「まつは相変わらず教え上手だね。やるねー」
「お前たちの新たな一面を見たぜ」
「まつはなんたって特待生だからね」
勉強をしていたうめが突如顔をあげ、私を示しながら自慢気に言う。多くの人物が驚きの顔をする。そこまで驚くか。跡部は知っていたような表情をしていたけど、どうしてだろう。
各自勉強を進めていたら、疲れたーとたけが音をあげる。雑談が始まる。何か面白い話してよ樺地、なんて無茶ぶりするたけに日吉が思いついたとでもいうように口をひらく。
「では、怖い話でもしますか」
「おいやめろよバカ!」
「そうだよ日吉」
向日と鳳が日吉の発言に驚く。日吉はオカルト話好きだものね。朝練のとき空を見上げていることが多い彼に、空が好きなのか尋ねたら、フライングヒューマノイドを探しているとか言われたことがある。話していくうちに色々と楽しそうに語ってくれたのも記憶に新しい。持ち運んでいるカメラで撮った写真は校内の報道委員会ではまだ一度も採用されていないらしい。
先ほどの反応を見る限り、向日と鳳この二人はオカルトの類が苦手そうだ。この前、公園にいた犬に懐かれましてね。なんて日吉は話を始める。あ止めてあげないんだ日吉。
「それはもう嬉しそうに尻尾を振っていて、もう千切れるんじゃないかってくらいブンブンふってたんです」
「……」
「そしたら、ほんとに飛んでったんですよ。尻尾が」
「だから怖い話はやめろって言ったろ日吉!!」
「え?!今の話怖いの?!なんか違くない?!」
「というより、勉強せんのかい」
クソクソなんて言いながら日吉に抗議する向日。犬ときいて嬉しそうにしていた宍戸が顔を青くしている。日吉はにやにやしておりご満悦気味だ。ごめん日吉、君の写真が報道委員会に採用されない理由が何となく分かった気がするよ。
勉強は進んだんだか進んでないんだかよく分からない感じだ。けれど、今まで図書室や家で勉強していた私にとって、このように賑やかに勉強をするのは新鮮だった。まあうめたちとすることもあったが、こんなに賑やかなのは初めてだ。
こういうのもたまにはいいかもしれない。
本格的な試験期間に入り、あっという間に最終日となる。
「無事に終わったー!」
「どっちの意味で?」
「ひっでえうめ。赤点ナシ!きっと!」
「きっとって、そこは自信もっておくれ」
「まつ様様だな。ここ大事って言ってくれたところがでてくれてよかった。ありがとー!」
「どういたしまして。よし、じゃあ久々の部活に行くとしますか!」
「おう」「うん」とたけとうめが返事をする。私たちはテニス部に向かった。
もうすぐ夏休み。そして、関東大会が始まる。