第四章
Name Change
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まつ、大丈夫かと言いながら跡部がこっちに来る。突然現れた幸村に、立海の選手たちも驚きの表情をしている。
「な、何が起きたの」
そうぼやいていると、幸村が「ウチの赤也がごめんね」と言って手のひらにあるボールを見せてくれた。なんでも、切原が放った強いボールが私の方に来ていたらしい。ぶつかる一歩手前だったようだ。そのものすごい勢いで飛んできたボールを普通に掴む幸村って何者。
助けてくれた幸村にお礼を言いながらそう思っていると、立海も私たちのもとにやってきて幸村に声をかけている。
「幸村部長!すみませんでした」
「赤也、俺じゃなくてまつさんにね」
「はい。まつ先輩、すみませんでした。俺、夢中になっちゃって、つい」
「いや、まあ私も不注意だったし」
そう言う私にホッとしたような顔をする切原。彼はワンコ属性か。にしても、今切原は幸村を何と呼んだ?ぶちょう?ぶちょうってあの部長?
「久しぶりじゃねぇか幸村。うちのマネージャーを助けてくれて礼を言うぜ」
「跡部、久しぶりだね。ほんとにマネージャーをとったんだね」
確か前に立海に行ったときも、他の生徒が久しぶりと幸村に声をかけていたのを思い出した。立海が絶対勝利を誓う理由の一つ。病と闘っている部長。彼がその部長だったなんて。てっきりマネージャーだと思っていた。呆気に取られている私に、幸村は微笑みかける。
「もしかして、私が勘違いしているの知ってた?」
「まさか。ただ、部長とは思われていなさそうだなとは思ってたかな」
あ、これ確信犯ですわ。さすがこの濃い面子のトップなだけある。そんなやり取りをしていると知り合いなのか?といった顔を氷帝の皆がしているので、この前知り合ったことを伝えた。
「幸村君、我々としては来ていただけるのは嬉しいですが、体は大丈夫なのですか?」
「少しは体を動かした方がいいって言われてね。運動はまだできないけれど。専属の看護師さんも来てくれているから問題ないよ」
「専属とは流石じゃのう」
「皆には苦労をかける。さあ、俺に気にせず練習を再開してくれ」
そう幸村が伝え、皆がまた練習に戻っていく。先ほどの跡部たちの試合は続きは関東大会までとっておいてやる、となりノーゲームとなった。
それからはお互いにラリーをしたり練習に励んでいる。
長いと思っていた土曜日の練習もあっという間に終わりに近づいていた。
練習も終わり、それぞれが片付けを行う。大きなケガもなく無事に練習も終わりよかった。
そんな中、帰り際に幸村がお疲れ様と声をかけてきた。少し話をした。
話をしていくうちに、なんでもまた17日に入院をする予定と分かった。今は、一度退院し学校に通える範囲で通いつつ家で療養しているという。しかも専属の看護師さんつきで。先ほど立海の選手も言っていたが幸村もだいぶ良いお家柄の人らしい。
「お見舞いはいつでも歓迎するよ」
「ご冗談を」
真田には貸していた保冷剤を礼を言われ返された。捨てずに普通に使ってくれていたらしい。柳には今日はいいデータをとれたと言われ、仁王や柳生ともまたねとった言葉をかわした。切原から今度お詫びにどっか一緒に遊びに行きましょうなんて言われたが、日吉が断っていた。日吉、なぜ君が断るんだ。赤也ー俺も俺もなんて言いながら丸井が話をし、奢り役に指名されたジャッカルは俺かよと突っ込みをいれていた。
立海もなかなか愉快なメンバーだ。テニス部ってやはりどこもこう癖の強い人が集まるのだろうか。
そんなことを思っていると、たけやうめにお疲れと声をかけられた。
「やっぱり王者って感じだったな」
「私たちも負けてられないね」
「たけたちが氷帝を応援してくれてて嬉しいよ」
「滝さんよ、一応マネージャーなんだから、応援するに決まってんだろ。負けたら承知しねえからな!」
「そうだよ!頑張ってね!」
「負けたら何か奢ることね」
「勝ったら私たちのマネージャー業のおかげだぜありがとうということで、奢れよ」
「どのみち奢るかんじじゃないか」
合同練習の帰り道。立海のレギュラー陣は今日の合同練習のことを振り返っていた。なれない氷帝の地での練習だったが、準備や案内、整備をまつたちが気をまわしてくれたことで快適に行うことができたことをレギュラー全員が実感していた。
「マネージャーいると色々とやりやすいッスね」
「だってさ真田。やっぱりマネージャーとる?」
「……不要だ」
「えー真田副部長ー。まつ先輩たちみたいなマネージャーいたら絶対に俺達もっと強くなりますって」
「真田、氷帝のマネージャーと何かあったのかい」
「マネージャーなどいらん」
「ふふふ。やっぱりまつさんは面白いね」
「?!なぜ奴とだとっ」
「まつさんと何かあったんだね」
「くっ。鎌をかけたな幸村」
練習試合でのまつとのやりとりを聞かれ、真田はいきさつを話した。幸村はその話をきいて「本当に面白い子だ」と笑っていた。柳が「弦一郎が松山まつのことを気に入っている確率……」と言いうのを真田が「蓮二」と呼んで言いとめる。
「マネージャーをとるにしても、あのような奴は立海にいないだろう」
そうこぼす彼に、気に入っているじゃないかと皆が内心突っ込みを入れていた。
そんな中、話の流れで負けたことが再度に話題にあがったジャッカルは、寿命が縮まるのではないかというほど内心冷や冷やしていたとか。