第四章
Name Change
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今日は土曜日。立海大附属中学校との合同練習の日だ。
「今日立海のテニス部が来るって聞いたけど本当?」
「立海大附属中学校のこと?そうだけど、有名なの?」
「昨年度の全国大会優勝校だよ!」
「そうだったの?!」
「氷帝のマネージャーでしょ。氷帝メンバーの管理も大切だけど他校リサーチもしっかりしときなさい」
「ごもっともでございます」
土曜日は午前授業であるため、放課後の部活の時間が他の曜日に比べて長い。来週から部活動停止期間に入るのもあり、今日はどの部も気合が入っていた。それぞれが部活に向かう準備をしている中、クラスメイトに話しかけられ、立海大附属中学校って強かったのかと知る。そして立海と略すことも知った。自分の学校の強さすら知らなかった私は、氷帝のメンバーのことにいっぱいいっぱいだったが、クラスメイトの言う通りな気がした。今後は他校リサーチもしていこう。前に乾とかデータがどうとか言ってたし、乾あたりに情報収集のコツとか教えてもらおうかな。
にしても、この前のお淑やか雰囲気の立海がまさかの優勝校だとは考えもしなかった。
「まつ。行くぞー」
たけに声をかけられ、いま行くと二人の元に行き教室をでる。部室に向かうとき、二人にも立海は全国優勝校だって伝えておいた。そして、品のあるマネージャーがいたことも。
「今日はお淑やかキャラで行かねば。氷帝の名にかけて」
「そんなどこぞの事件簿みたいな感じな時点でアウトだろ」
「そんなことありませんわ、じっちゃん!」
「だからそれがだめだっつーの!第一なんで私がじっちゃんなんだよ!」
「二人とももう部室に着くよ」
とりあえず今日もがんばろう。
そう思いながら立海がこちらに到着するまで準備を進める。
部室にはいり、「今日はお淑やかに生きてまいります」と宣言したが全員に「無理だろ」と即答された。
「相変わらず何考えてやがる。お前は大根役者だからやめとけ」
「な。大根言わないでいただけますか、跡部さん。氷帝のプライドにかけて、同じマネージャーとして品性をもって接しようと思ったまででございますわ」
「うめがやるならまだしも、まつは絶対に無理みそ」
「なんか変な口調だC」
「なんだとこの。第一変な口調なら芥川もでしょうが」
「もう素がでとるやん」
「そもそも立海にマネージャーなんかいたか?」と跡部が他のメンバーに聞くが誰一人知らないと返事をしていた。じゃあ、あの人も新しいマネージャーさんなのかな?
まあお嬢様口調は似合わないってことは自分でも分かるわ。
このメンバーでやるわけだし、今更私だけが取り繕っても意味ないか。「やっぱりいつも通りでいいか」と呟いていると日吉が安心したような顔をしていた。なんかごめん。
練習が開始された。立海はまだ来ていない。神奈川だものね。
皆は準備運動をして走り込みをしたり簡単なラリーをしている。たけが部員たちに「オラオラしゃんとろー」と言いながら遠慮なくどんどん球出しをしていた。テニスラケットを握っているたけは楽しそうだ。あの合宿以降、たけの苦しそうな表情は見ていない。不二、ありがとう。
うめはコートの周辺の整理整頓をしたり、球拾いをしている。
私は走り込みでバテそうになっている1年生たちに「頑張れあとちょっとだから」など声をかけたり背中を押したりして、一緒に走っている。
そんな私たちの様子をレギュラーたちは見ていた。
「くく、今まであんなマネージャーいたか?なかなかいいもんだ。なあ樺地」
「ウス」
「変わっとるけど、ほんまありがたいこっちゃ」
そんな会話をしているとは全く知りもしなかったけど。
1年生の走り込みが終わった頃、ちょうど立海が来たぞと言う声がした。
今日は半分のコートを練習試合用として使用する。使用予定のコートを避けながらレギュラー以外の部員たちが練習を始めていく。それらの様子が落ち着いた段階で、練習試合を始めるための準備として立海やレギュラー陣がいる方へ向かう。
てっきりお淑やかキャラだと思ったが、私のイメージは手塚の時と同じようにもろくも崩れ去った。
「たけ。さっきじっちゃんとか言ってたから、ほんとにじっちゃんみたいな人が来ちゃったよ」
「あれ顧問?」
「すごいメンバーだね」
跡部と挨拶している帽子をかぶっているじっちゃんをはじめ、目を閉じているノッポ、白髪、なんかうさんくさい眼鏡、ハゲ、ガムを膨らませている赤髪、わかめヘアーというなんとも豪勢なメンバーだった。
幸村というマネージャーさんはいなさそうだった。
「うめちゃん。あそこにいる赤髪の人!丸井君は僕の憧れなんだ」
そう芥川がさすのはガムを膨らませている人。いつも何か眠そうにしている芥川がこんなにもテンション高いとは。何者だ丸井。
「全然ほんわかじゃねぇじゃんまつ」
「むしろ殺伐としてる」
「おっかしいなぁ」
そんな感じで呆気にとられていると、跡部が私たちを呼んだ。何事かと思いそちらに向かうと、立海にマネージャーだと紹介された。
「何かあればまつたちに言え」
跡部の言葉に続いて、私たちはそれぞれ簡単に名前を伝える。
「ウチにはマネージャーいないから、なんか新鮮な感じッスね」
そう言い彼らも簡単に名前だけの自己紹介をしてくれた。じっちゃんは真田と言う名前で同い年らしい。青学といい立海もキャラ濃いな。
にしても先ほど切原が言った言葉が気にかかる。え。マネージャーいないの?じゃあ幸村は何者?