第四章
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電車に乗り、立海大附属中学校にやってきた。氷帝の最寄りから一本でいけたのはありがたい。文明の利器って素晴らしい。そんなことを思いながら立海大附属の校門に立つ。
「いやでかすぎでしょ」
さすが大学附属。いや、氷帝もだけど、規模が違いすぎる。ここにむかう前、榊とのやり取りを遠くから見守っていたらしい天文部部長に聞いたら、確か生徒の数がえげつなかった気がするとは聞いていたがここまでとは。もっと小さいと思ってた。失礼しましたと内心謝罪しながら、職員室へと向かう。
昇降口に来て、このまま職員室へ向かっていいか逡巡していると、他校生がいるのに気が付き立海大附属の生徒が声をかけてくれた。
テニス部に届ける書類があることを伝えたら、職員室に先生いたかな、テニスコートの方がいいのかな、けど男子テニス部だったら、なんて向こうも考え込んでいた。
「男子テニス部のだったら俺が受け取るよ」
「あっ、久しぶり幸村君。丁度よかったよ。そうだね、幸村君に渡せば問題ないね」
あの人に渡せば大丈夫だよと伝え声をかけてくれた生徒は去っていった。去っていく姿にお礼を言い、件の幸村君と呼ばれた人に向き直った。
彼は制服姿だった。この人に渡せば問題ないってことは、マネージャーか何かだろうか。
「氷帝の人なの?」
「はい。氷帝3年の松山まつって言います。男子テニス部の顧問から、以前送った書類に不備があったみたいで修正したものです」
ありがとうといって受け取った幸村君と呼ばれた彼は書類を見ている。
「君は、氷帝のマネージャー?」
書類を読んでいると思ったら突然きかれ、はいと答える。あと二人いますと付け足しておく。
「そうなんだね。跡部がマネージャーをとるとは。そうだ、挨拶が遅くなったね、俺は幸村精市。同じ3年だよ。今度の合同練習、よろしくね」
「よろしく」
そう言い、幸村は「これは確かに受け取っておくね」と、届けてくれたお礼を添えて去っていった。
終始穏やかで物腰の柔らかな幸村がマネージャーなんて、立海大附属ってほんわかした雰囲気なのかな。今週の土曜日、氷帝と合同練習なんて大丈夫だろうか。いつもの氷帝の練習風景を思い返し、ドン引きされるんじゃないかなんて思ってしまう。それにマネージャーからして品がある。まずい、私たちも穏やかにせねば。
そんな決意をしながら、帰るかと思い私は立海大附属を後にした。
同時刻の立海大附属中の男子テニス部のテニスコートでは、突然現れた幸村に、部員たちが練習の手を止める。
「幸村!来ていたのか!」
「久しぶりだね、皆。来月の入院まで学校に行けるときは行こうと思って。休んでいた分の追試験もあるしね」
「幸村部長!一緒に練習してくれるんですか!」
「ばか者!今の幸村は体を治すことが最優先だ!!」
「ふふ。ありがとう真田。赤也も待っててね、戻ったらいっぱいしごいてあげるから」
幸村が現れたことで、立海大附属テニス部の全体の雰囲気が変わった。それぞれが幸村を囲んでいたが、幸村が声をかけ各自練習に戻っていった。賑やかだったそこには、立海ビック3と呼ばれる3人だけとなった。
「精市、それは?」
「ああ。今週氷帝との合同練習があるんだね。以前送った資料に不備があったとかでわざわざ届けに来てくれたんだ。はい真田」
幸村は手にしていた紙を真田に渡す。確かこの前の抽選会で一度書類は受け取ったな、などと言いながら真田は受け取った書類に目を通す。
「蓮二、氷帝がマネージャーを取ったって知ってた?」
「ああ。詳しく情報は取っていないが、4月から新たに3人の女子生徒がマネージャーをやっているというのは」
そうなんだね、と言う幸村に柳が何かあったのかときくと、そのうちの一人が届けてくれたんだよと答える。
「いいね。ねえ真田、うちもマネージャーとろうか」
「不要だ」
「ふふ。そうだね」