第一章
Name Change
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私の名前は松山まつ。
私はこの無駄に広くて無駄にリッチな立地の氷帝学園3年生。クラス替えがあり、なんと、あのとある先生で有名な響きの3年B組になりました。
そしてなにより、1年の時から仲良しな、男勝りの竹川たけと腹黒ホンワカの梅木うめと同じクラスになりました。
たけとは1年の時……といっても私は途中からだったから実質1か月くらい、うめとは2年の時に同じクラスだったけど、3人が一緒のクラスは今回は初めてで、今回のクラス編成をした先生には花束を贈呈したいくらいだ。
いろいろあって仲良くなった私たち。それぞれ友人はいるけれど、波長が合うのもあって3人一緒にいることが多かった。
私たち3人の共通点、それはこの氷帝学園の男子テニス部が苦手ということ。部員全員ではないのだが、特に今の3年の人々。
私たちそれぞれテニス部で人気のあるらしい人物と同じクラスになったことがある。さらに、たまたま近くの席だったり宿泊学習とか遠足とかで同じグループになってしまった経験があり、親衛隊たちにチクチクされたこともある。
そして先ほど滝に言ったように、テニス部はそれに対して我関せず。自己責任とでもいいたいのだろうか。そもそも気がついていないのか。知らんぷり。ふざけんな。そこら辺の管理もしっかりやってほしい。
親衛隊にもテニス部にも怒り爆発した私たちだったのである。
まあ親衛隊に関しては、1年の時に一度かなりお灸をすえた経験があるけど、しぶとい。あれ以降は、大きなものはなくなったが、関わると2年の時も簡単な悪口くらいは言われた。
とにもかくにもテニス部には関わらないのが吉。触らぬ神に祟りなしだ。平穏な学園生活を送るためにも、それを固く誓った。あ、滝は1年の時に人となりが分かっていたのでそんなことはないが。テニス部と知る前に知り合っていたのもあるかもしれないが、私たちと滝は友人である。
「そういえば、二人は部活はそのままでいくの?」
「ん?そうね。天文部は相変わらず廃部寸前だから、人数調整でいなくなるわけにはいかないし」
「ほとんど行ってないだろーが。にしても、天文部にまだ泣きつかれているのかよ」
「地味すぎるとか言って、2年生が結局残らなくてね。今年の1年確保に張り切ってる感じ」
「まあ地味だしな」
「ひどーい!星座に興味を持ってもらおうと、ギリシア神話について熱く語ったのに、いなくなっちゃったんだよ泣ける」
「いや、絶対それのせいだろ!!運動会の部対抗リレーで天文部のあの人素敵ってなって入って、いざ話したらこれだもんな。かわいそー」
「なんだとー!」
「ぎゃー!ギブギブ」
呆れるといって手を挙げ肩を落とすたけを後ろから首をあつく抱擁してあげた。そんな私たちのやりとりを困ったように笑いながら見るうめ。
そんなやりとりに、またやってるのか、と滝がこちらを見ている。
「たけさんもまつも運動神経いいんだから運動部にはいっちゃえばいいのに」
「んー、なんだかなぁ。3年になったら逆に入りにくいし。今の助っ人くらいが気楽でいいんだよな」
「そうね。私もまあ、走るのが好きなだけだしなぁ。高校になったら陸上部はいるのありかな、なんて思ってるけど」
「んだんだ」
「そっかー。うめちゃんは今年は美術部部長なの?」
「部長じゃなくてなんか会計をお願いされたんだ」
「確かに似合うわねー」
そんな他愛もないやりとり。自然に滝が入り込んできている。
これからの3年生の生活はきっと毎日笑いが絶えなくて楽しくなるだろうな、と思わずにはいられなかった。
しかしその願望は速攻で崩された。
「おい、萩之介。今年度のテニス部のミーティングをする。あーん?なんだその女たちは」
女子の黄色い歓声と共に現れたのは、私たちの苦手オブ苦手の彼。思わず「うわぁ」といった3人の声が重なる。滝が入り口を見ながら、彼の名前を呟いた。
「景吾君」