第三章
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ノックしてたけの部屋を開けると、たけとうめが座って話をしていた。
「まつ」
「たけ。ごめんね。調子はどう?」
「まつが謝る必要なんてないって。寧ろ、試合を止めないでいてくれてサンキュな。まあ結局途中で終わっちゃったけど」
そう言い笑うたけの元に行き、テニス部の皆に話したことを伝えた。
「にしても、これで変に気を遣われたりしたらやだなあ」
「大丈夫だよ。デリカシーない人ばかりだから」
「今はそれがありがてぇ」
うめの言葉に笑うたけは以前より表情が明るい。けど、まだ心には引っかかっているものがある笑顔だ。過去のことへの感情の折り合いはそうすぐにつくものじゃない。時間をかけてでもいい、少しずつ前に進んでくれたらと願わずにはいられない。私が言えた義理じゃないけど。
3人で会話をしていたら、控えめに扉が叩かれる。誰だろうかと思い扉を開けると不二がいた。ちらりと見えたのか、たけが「不二」と呟く。「やあ」と挨拶する彼は、たけと話ができないか尋ねてきた。
私とうめは部屋を出ることにした。
大丈夫かな、と心配そうな面持ちをするうめに私は肩を叩く。
「彼なら、任せられるから。きっと、大丈夫だよ」
そう言い私たちはテニス部のいるところに向かった。
それから夕方の自主練習も終わり、夕食の時にはたけも顔を出していた。そこには、何か付き物が落ちたような表情をして、話すときもいつもの調子のたけがいた。
不二とのやり取りできっと一歩を踏み出せる何かあったのだろう。テニス部の皆も安心したような表情をしている。
今もたけは不二と楽しそうに話をしている。そこに越前くんが謝りにでも行ったのか声をかけ、たけが越前くんの頭を撫でまわしている。
無理のない範囲で、今度何があったかこっそり聞いてみようか。
たけの目に映っている不二はきっともう、兄の面影ではなさそうだ。寧ろあれは……。
「よかったね、たけ。なんか変わった」
「そうだね」
「前からちょっと思ってたけど……たけって不二さんのこと、好きそうだよね。あ、その、兄としてとかじゃなくて」
そう耳打ちしてくるうめに私は笑う。うめにも気づかれているよたけ。当の本人が気が付いているかは不明だけど。
「うめも素直になっていいと思うよ」
たけを祝福するようにみているうめは、どこか羨ましそうだった。え、と驚くうめに笑いかける。
「好きになることは悪いことじゃないから」
「まつ……」
さ、行こうかといって夕食の席に向かう。跡部がこっち来いと隣の席をさして言うので、私は樺地の隣に座った。跡部がなんでそっちに行くんだとか言ってきたが無視した。うめは芥川と向日に囲まれている。