第三章
Name Change
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いよいよ青学との合同合宿となった。
合宿と言っても、1泊2日だし、都内郊外の施設で行う合同練習の延長みたいなものだ。青学、氷帝それぞれバスに乗って施設へ向かう。
「いや、バスになんでATOBEと書かれているわけ」
「だって、跡部家管轄の施設にいくし、バスも跡部のだし」
「まじかよ」
「相変わらずだね」
現れたバスに、そして滝から聞かされた新たな事実にたけとうめも絶句している。
跡部は相変わらず規格外。そういえば、去年の修学旅行で何かはぐれた生徒を探すためにヘリコプターをだしたとかいう噂もある。ヘリコプターやプライベートジェットで向かわないだけましか、なんて思う私も大分跡部に常識的感覚を麻痺させられてそうだ。
いくぞと言ってそれぞれバスに乗り込む。
今回参加しているのは正レギュラーのみなので、日吉と宍戸がいない。日吉はそれなりに話しやすい、というより、よく話しかけてくれる。日吉に話しやすいなんて感想持つ女子はまつだけだと思うよなんて滝に言われたが、普通に可愛い後輩だと思う。前日にこっちいる間に実力あげて下剋上してやると意気込んでいた。今回は彼らは特に練習の指示はないが、今頃きっと宍戸や準レギュラーとともに自主的に練習に励んでいるのではないだろうか。マネージャー3人とも行く必要あったのかな、なんてことを流れる風景を見ながら思っていた。
都内にあるためさして時間がかからず到着した。郊外であるため、そこに広がる自然風景にここは本当に都内だろうかなんて思ってしまう。
着いたーとたけは荷物を持ちながら背伸びをし、マイナスイオンたっぷりだなんて言いながら深呼吸をしている。
「久しぶりだな跡部」
「ああ手塚。腕なまってねえだろうな」
青学もほぼ同じ時刻に到着し挨拶をしていた。部長同士並んでる様子を見るとオーラのある二人だなってしみじみ思うよ。
「やあ、たけ」
「あ、不二。この前ぶり」
「うめちゃんもヤッホー!」
「菊丸なにうめの手を握ってやがる」
私たちの方にも青学レギュラーたちが挨拶に来る。うめの手を握った菊丸を牽制するように、向日や鳳たちが立つ。そんな警戒しなくても。と言うより、向日はいつの間にうめに興味を持ったんだ。
「ほら早速練習するぞ。今回は期間が短いからな」
「皆、油断せずに練習に励め」
そう言い、跡部と手塚が声をかけ私たちも準備に取り掛かる。
施設はテニスコート以外にもトレーニングルームやクアゾーンといったものがあり充実していた。トレーニングルームで懸垂機があり、少しだけならと思い好奇心からやってみたが、8回が限界だった。その様子をみていた乾が笑っていた。
「……これはマネージャーとして機械の安全性を確かめていただけでしてね」
「フフフ。8回でもすごい方だと思うぞ。やはり天文部の謎のシューティングスターなだけあり体力がありそうだ。松山まつ、竹川たけ、梅木うめ。面白いデータが取れそうだ。合宿の間もよろしくな」
と謎のフォローをいれられた。え、天文部の謎のシューティングスターって何。初めて聞いたんだけど。浪速のスピードスターに似てて恥ずかしいからやめていただきたい。ちなみに乾が懸垂をしたら、めっちゃ早く何回もやっていた。筋力オバケか。
たけとうめとともにそれぞれ仕事を分担してマネージャー業をしていた。
たけは主に青学のコートを、うめは氷帝コートを中心に仕事をしていた。私は片付けやこまごましたものをちょこちょこ動きながらやっていた。
「テニスラケットを持つとキャラ変わるってすごいな」
練習を開始して、ラケットを握った河村が急にバーニングなどと叫び始めたため何事かと思った。大石が河村のことを説明してくれた。氷帝もだが、青学にもキャラが濃い人がそろっている感じだ。面白選手権では負けないと思い「こっちの向日なんて、羽をはやして空飛べる」など言っていたら向日から後ろからはたかれた。解せぬ。
「ねえ。あの人、テニスできるってホント?」
そう言い私に声をかけてきたのは、レギュラーの中では珍しく背の低い彼だった。越後屋くんと声をかけると越前ッスと返された。
「たけのこと?」
「乾先輩から聞いたんです。あの人が宍戸って人とテニス勝負をしてマネージャーになったって」
乾そんなことも知っているのか。
「そうだよ、榊が乱入したから負けちゃったけど」
「へえ。どうも」
越前くんは帽子の鍔に手をあてお礼をいってコートに入っていった。
午前の練習が終わり、午後は練習試合となった。
それぞれがコートに入り、同時にいくつかの試合が行われていた。たけは大丈夫かな、なんて思い見てみるが案の定少し目を伏せている。
「たけ。私とうめで回すから、たけはあっちの洗濯とかお願い」
「……悪い」
たけに近づき、伝える。うめの方を見ると、任せておいてと言うように手でサインを送っていた。たけはコートを離れ、控え室の方へ向かった。
私とうめで回していたが、忙しさもありその練習試合の待ち時間にどこにどの選手がいるかまでは手が回らなった。
まさかたけのところに先ほど私に声をかけた越前くんが向かっていたなんて思いもしなかった。