第三章
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たけが青学へと旅立ち、部活ももうすぐ終わりの時刻へと近付いていた。
「青学と合宿かぁ。都大会で青学の部長さん見るの忘れてたし丁度いいわ」
「なんやかんやで氷帝のところにずっといたもんね」
そんな会話をしながら、以前跡部が青学のチームについて語っていたことを思い出す。
「青学にもアクロバティックプレーいるらしいよ。向日」
「知ってる菊丸だろ」
「歌丸?」
「まつ、それ落語の人だから」
青学の選手についてそれぞれが語りながら部活の片づけをする。関東大会のトーナメントはくじ引きで決まる。どこから開始であろうが、お互いが勝ち進めばいずれどこかで当たる可能性がある。
青学選手の話題は天才と言われる不二の話題になった。
その時、うめが不二?と反応した。以前跡部が話したときはその名前に反応しなかったうめが何か思い当たることでもあったのか手を止め考え込む。
「どうしたのうめ?」
「ねえ、その人って裕太っていう兄弟いたりする?」
そう言われ、そういえば都大会5位決定戦で芥川と戦った不二という選手は裕太だったと私は思い返した。なぜ急に不二裕太がでてくるのか疑問に思っていると、忍足がうめに返事をする。
「不二裕太やろ。この前ジローが戦ったやん。通っとる学校はちゃうけど、青学の不二とは兄弟や」
「不二……裕太。弟。じゃあ、あれはその不二さん?」
一人ぶつぶつ言っているうめに全員が何事かと思う。
「あああ。なんであの時気が付かなかったんだ私!まずいよまつ!こうしちゃいられない。私たちも青学行こう!!」
そう言い焦り、急いで片づけをして私を引っ張るうめ。
何だ何だと思っていると「この前たけが兄って言った人、きっとその青学の不二さんだと思う」と耳打ちをしてきたため、なんてこったと思い私たちは片づけをし青学へ向かった。
爆速で片づけをし、ごめん今日はこれで!といい有無を言わせず去っていく私たちを氷帝レギュラーたちはただ見守るしかなかった。
「ここが青春学園」
「青春している人たちのたまり場」
「言い方」
そう言いながら、私たちはテニス部へ向かう。バスの中で、書類届けるだけならたけもう帰ってそうじゃない、となったがとりあえず向かおうとなった。
「制服セーラーだね可愛い」
部活が終わり下校していく生徒たちをみてうめがつぶやく。確かに独特な制服だけどかわいいね。そんな風に周りを見ながら歩いていると、どこからか「あれ氷帝だよね。さっきも男テニに氷帝生いたし何かあったのかな」なんて声がした。
私とうめは顔を見合わせ、たけだと思い男子テニス部のところに向かった。
テニス部にたどり着くと、そこには部活が終わったのか練習している選手はいなかった。
そんな中、入り口のフェンスのところに寄りかかって立っているたけをみつけた。たけと私たちが声をかけると、おうと返事をしてこちらに顔を向けた。
「折角来たならここで少しマネージャー業でもしていけばいいってなって、どうせなら最後までいるかってなった」
そんなかんじでいきさつを話すたけの表情は明るい。はじめはどうなることかと思ったが、想像以上に話しやすい人が多かったらしい。竜崎先生という顧問が色々と世話を焼いてくれたらしい。私やうめが思っていたより、問題はなかったように見られ安心した。
そうこうしているうちに、部室から制服姿の生徒たちが出てきた。氷帝生が増えてる、など口にしている。その中にいた3人があの時一緒にいた子だね、と言ってうめに声をかけていた。なら、このうちの一人が不二か。と何となく思う。
「あんたも氷帝マネージャー?」
たけたちが話しているのを見ていると、ふと声をかけられる。声のした方をみると。そこには小柄な男の子がいた。いつも跡部などと話していると見上げることが多い分、不思議な感じがした。
「まあ、一応?期間限定みたいなもんだけど」
「猿山の大将さんに次は勝負しようよって伝えといて」
そう言う彼に私は思わずふき出した。
「猿山の大将!うんうん。言い当て妙だよ、最高だね君」
そう言い笑う私に、笑いすぎと彼は言う。けどよく考えたらその猿山の一角に私もいるじゃん。猿は猿でも類人猿くらいにはしてほしいものだ。そんなことを呟いていると近くにいた眼鏡の人が彼に声をかける。
「越前、相手選手をそんな言い方するんじゃない」
「はい」と素直に言う彼の様子から、眼鏡のひとは、顧問の先生か。そういえばたけが色々と気にかけてくれてたって言ってたな。
「竜崎先生。いいですよ。彼の言うことも分かりますから。それに、突然の訪問だった氷帝マネージャーを気にかけていただきありがとうございました」
「……」
そう言うと、たけがやってきて「その人だよ、手塚さん」ととんでもない冗談を言う。
「たけさすがにその冗談は分かりやすすぎるってー」
「部長の手塚だ」
「嘘ぉおお」
私の中の青春学園テニス部部長のイケイケ男子像が見事にぶち壊された。絶対にウェーイとか言わなそう。むしろ言って欲しくない。
「そんな馬鹿な。青春しているんですか手塚先生!!」
「先生ではない。部長だ」
「なんなんスかこの人」
あれが手塚さん、などと呟いているうめも恐らく同じことを思っているだろう。
それから、軽く自己紹介をした。乾という人が、私たちのことを知っていて驚いた。ちょっと変態臭いけど、海堂がこの人は見かけはアレだがいい人と言っていた。どうやらケーキ屋でたけたちにあったのは、例の歌ま……じゃなかった菊丸と河村だったようだ。
まあ皆また合宿で会うけれど。
帰りは電車で帰るかなんて言いながら、青学の人たちと別れて3人で駅へと向かう。
「たけよかったよー。まつと大丈夫かと冷や冷やしたんだから」
「ほんとに。そんなにお兄さんと不二似てるの?」
「悪い悪い。いやー、なんかよく見ると顔は全然似てないんだよな。なんつーか、雰囲気?それが似てるのかも」
そんなことを言うたけに普通に不二と仲良くなったらしく、素直に良かった。不二周助。彼は、たけのお兄さんに似たテニスプレイヤー。彼との出会いで、少しでもたけが一歩を踏み出せたら、なんて思う。
いつもの雰囲気にもどったたけと、いつもの他愛もないやり取りをしながら駅にたどり着くとそこには跡部がいた。しかも高級車付き。
「遅ぇじゃねーか」
「いや何でいんのよ」
「無事に出張を終えたマネージャーの迎えだ」
「迎えより出張旅費だせやオラ」
跡部はたけが普段の様子に戻ったのを察したのだろう。少し安心したような顔をしていた。
手塚に会った話になり、なぜイメージを伝えたあの時すぐに否定してくれなかったと跡部に伝えた。あの反応みて違うと気が付くだろとか言われたので分かり難いんじゃボケと伝えといた。
もうすぐ青学との合同合宿が始まる。