第二章
Name Change
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テニス部マネージャーとしての日々はあっという間に過ぎていき、まつたちはそれなりに仕事が板についてきた。
はじめは分からないことだらけであり、時間のかかっていたことも、慣れてきて今ではすんなり行えている。習うより慣れよの精神であったため、元来真面目な三人は着実にマネージャーとして成長していた。
「もうすぐ地区予選だね」
「そういえば、氷帝ってどれくらい強いの?」
「どうなの?」
日誌を書くときカレンダーをみてうめがつぶやく。ふとした疑問をまつが口にし、3人とも帰宅の準備をしているレギュラー陣を見る。
「全国レベルだよ。そんなこともお前ら知らねぇのかよ」
「うっさい髪型。皆が皆テニス部大好きと思うなよ」
「な……!俺は向日岳人だ。クソクソいい加減覚えろ!」
「にしても全国レベルなんだね。知らなかった。すごいね」
「無視かよ」
3人ともテニス部がそれなりに強いとは聞いていたが全国レベルだとは思いもよらず、驚きをあらわにした。
その様子に、レギュラー陣は知られていなかったことに逆に物珍しいものを見るようなまなざしを向ける。
「ほんとに俺たちに興味なかったんですね」
「まあ。関わると碌なことないし」
「なんやそれ」
「あんたらはもっと自分たちを客観視することね」
「そーだそーだ」
さて、書き終えたし帰ろーと言って、まつたちが立ち上がる。
また明日と言って出ていった扉のところを、レギュラー陣たちは見つめている。
「なんか珍しい先輩方ですよね」
「性格はありえねぇほど悪いけど」
「あれは、俺たちがテニス部だから、かな。けど、話しやすいだろう」
「まあ確かに、媚売られたりするよりは遥かにいい」
「あいつら、なんでそんなにテニス部が苦手なんだよ。それに、滝はどうして仲良しなんだ」
「はぁー。なんか言うの恥ずかしいけどさ、有名でそれなりに人気でしょ皆」
滝が俺はファンクラブとかがあまりいないみたいだから、話してても無害なんだと、と小さい声でつぶやく。哀れな目線を送ってくる部員の目線に負けないようにその後に続いて、「皆覚えていない?何人かは同じクラスになったことあるはずだよ」という。それに驚くのが数名。
ちなみに同じクラスになったことがあるのは、忍足とまつ、忍足と向日とたけ、芥川とうめだ。
「嘘やん。まつとたけと同じクラスやったことあるん?」
「まあ1年の時だから、まつは実質1か月くらいしか同じじゃないだろうけど」
「確かにたけとは去年一緒だったかも、しれない」
「俺うめちゃんと一緒だったのかー」
「うん、1年の時ね。それにうめちゃんは幼稚舎からいるから、もしかしたらもっと前でも同じクラスだったかもよ」
「えっ。そうだったの。全然知らなかった」
俺もと宍戸も驚いた表情で同意する。
「なるほど。俺とは同じクラスになったことねぇ感じか。どうりで俺様の目に今まで止まらなかったはずだぜ」
いや結構まつとか目立つとは思うけど、転校生だし天文部の謎の足早い人なんて騒がれているし、なんて内心突っ込みを入れながら滝はため息をつく。
「まあ。さっきまつが言ってた、もう少し客観視した方がいいっていうのは正しい気がするよ」
そんなことを言いながら、今日の部活は解散となった。
地区予選が始まるが、氷帝は全国までまず間違いなく勝ち上がるだろう、とそれぞれ油断していた。