テニスの王子様SS
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「白石君の歌声、私好きだな」
うわごとのようにポツリと呟かれた言葉に、心臓がドキリと脈打った。
隣で眠っているなまえの横顔をみつめる。
「今日も応援ありがとう」
なまえの真っ直ぐな声援は己を奮い立たせてくれる。試合中は応援やサポートをし、試合後の帰りのバスや電車の中でも試合の振り返りをしてデータを整理していることが多かった。いつも全力な彼女に、少し休むようにいっても全く聞かなかったものだ。
今日の試合は厳しい内容であったが、いつものテニスで着実にポイントを重ね、勝利をおさめることができた。なまえの隣で共にデータを整理しながら今日の振り返りをしていた。
そして、考えるときの癖であった鼻歌を微かに紡いでいたら、ポツリとなまえが呟いた。突然のことに驚き隣を見たら、うつらうつらとしている彼女の姿があり、目が今にも閉じそうだった。呟いた言葉がうわごとのように聞こえたのは眠たいからだったようだ。
「なまえ。無理せんで。寝とってもええよ」
「へいき」
「んな顔で言われても説得力皆無や」
なまえから無理くり資料をとり、少しでもいいから寝るように告げると、堪忍したのか眠気が勝ったか、こくりと頷いた。いつになく素直な様子に微かに口元が緩んだものだ。
今日は新年度になり、初試合でもあったことから特に力を入れている様子もあった。
「……誕生日、おめでと」
目を閉じたなまえは己に向かい、祝福を述べてきた。今日会った時にも真っ先に言われた。四天宝寺の皆と共に何度も言われた。自分の誕生日の時以上にはしゃいでいるなまえ。いつもより力が入っていたのは、己の誕生日を意識してだったのだろうかなどと思ってしまう。
そんなことを思い返しながら、バスに揺られているなまえに笑みをこぼす。完全に船をこいでいる彼女の頭が窓に当たらないように静かに己の肩に預けさせる。
日頃のお礼を込めて、起こさないようにそっと小さく、以前彼女が好きだと言っていた歌を紡ぐ。
聞いたことのない歌ではあったが、好きだと言ってた彼女の笑顔が今も脳裏に焼き付いている。歌を調べて、こっそりと練習を重ねていた。
大切な人を想う歌詞。いつになく感情がこめられそうだ。
Happy Birthday !! 2023/4/14
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