テニスの王子様SS
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自分の番号を呼ばれ、ありがとうございましたというスマイルと共に商品を差し出される。仕事終わりで、今日は流石にご飯を作る気は起きなかった。いつもは気楽だが、こう仕事に疲れた日は単身者である寂しさを強く感じる。
スマイルを浮かべる店員さんに軽くお礼をいい、商品を受け取る。私の後ろで店内にいた学生らしき数人の集団が、来た来た!とかいって慌てたように出ていった。何が来たのだろうか。何をそんなに急いでいるんだろう。その集団がいたであろう席の方を見ると、同じ制服をきた少年たちが数名席に残っていた。彼らは呆れたような表情をあれば楽しそうな表情が浮かんでいる。けれど、全員がどこか応援するような眼差しを送っていた。
何だったんだ。そう思いながらも、店をでて家までの道を歩こうとする。私の行く先には、先ほど出ていった集団がいた。何やら一人の少年が誰かと電話をしているようだ。
「あのさ!俺と!付き合ってくれ!!」
すれ違い様、電話に向かい勇ましく告げる少年の声が響いた。
緊張しているのがこちらにまで伝わってくる。だが、どこまでも真っ直ぐな声音に彼の人となりが分かる。感情の籠ったストレートな物言いに、自分に言われた訳ではないのに思わずドキドキしてしまう。
その勇気ある少年の囲っていた人たちも言ったー!と声には出さないが嬉しそうに手を叩いている。成程。先ほどの彼らの様子はこの告白を行うことに対してだったのか。
青春だなあ。と夜道をひとり歩きながら彼らの様子を思い返し、思わず懐かしい気持ちが胸に溢れてきた。自分も年を重ねたものだ。
「やったな宍戸―!」
「なまえと幸せにな!」
遠くで歓声が聞こえる。少ない人数なのに賑やかなものだ。
どうやら少年は宍戸という名前だったようだ。そして告白相手はなまえちゃんというらしい。
顔もよく分からずこれからも関わることのないであろう彼らだが、ありきたりな日常を、変化のない繰り返しの白黒の毎日を過ごす私に色彩を与えてくれた気がする。この世も捨てたもんじゃないななんて、壮大な感想を持ってしまう。さて、明日からも頑張りますか。
宍戸少年となまえ少女に幸あれ!
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