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何かとやらかす福士ミチルと同僚になる
「今日こそは勝ち取る!」
そう言い掛け声とともに社名を叫ぶ彼。
勢いよく、箱の中から紙を取る。全員がその紙を見つめる。静かに彼が紙を開く。
そして、彼は頽れた。
ああ。またか。
私は何となく分かっていた結末に、逆に笑みが零れた。プロジェクトを逃したため、全く笑えないのではあるが。
「ごめん。なまえさん。今回こそとは思って挑んだんだけど」
「いいよ。悔やんでも仕方ない。次決めていこう」
「にしても上司になんて報告しよう……」
そんな会話をしながら自分たちのフロアに戻っていく。
同僚の福士ミチル君。彼はとにかく不幸体質らしい。仕事でタッグを組まされてから、その不幸体質に何度振り回されたことか。悪い人ではないのだが……。次こそは絶対と言い何度目だろうか。それでもあきらめないあたり彼のタフっぷりには脱帽だ。見習う点を挙げるとしたらそれだろう。
「昔からくじ運悪いの?」
「中学の時とか部活の大会で、王者と一回戦に当たっちゃったりしたかな」
「おうふ」
他にもおなかを下したりとか何とか色々あるようだ。ついこの間の歓迎会で行われたロシアンルーレットもどきで、3回やって3回とも彼が当たっていたのも記憶に新しい。
「なまえさんには感謝しているよ」
「突然なに?」
「俺こう見えて、学生時代は部長とかやってて。今までミスしてもフォローしてくれる人とかいなかった」
けど今は、どんなにやらかしてもなまえさんが助けてくれる!ほんとに感謝しています!なんて自信満々に言ってくる彼。
いや、まずやらかしを無くす努力をだな、とは思ったが、彼の不幸体質は努力どうこうでどうにかなるものなのかとも思えた。
「じゃあ、日頃の尻ぬぐいの労いとして何か奢ってちょうだい」
「お安い御用です!姉御!!」
キラキラした瞳で言う彼に対し、まあ頼られるのは悪くないかと思えてしまう。
二人で仕事終わり、華の金曜日に飲みに行き愚痴を語り合う。
会計時になり、財布を持っていないことに気がついたらしい彼に、一発拳骨をかました私は絶対に悪くないと思う。
後日美しい土下座と共に倍の金額を渡された。その必死さに思わず笑ってしまった。
それ以降、何を持ったのかミチル君は何かとやらかす度に土下座してきて、社内の恒例行事と化してしまったのは誤算だった。
いやまずはやらかしを減らしてくれと心から願った。今度、彼を祈祷にでも連れて行こうかと思う。