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忍足侑士と当直中
「夜勤しているとトイレで眠くなるときありません?」
「あー。まあ、あるなあ」
椅子に掛けながら束の間の穏やかな時間を過ごす。夜も更け、多くの人が寝静まるこの時間でも起きている私たち。窓から見える空は真っ黒だ。することがないとボンヤリとしてくるため、隣にいる忍足くんに至極どうでもいいような話題を振る。
「トイレが突然流れたりするじゃないですか。あれ怖くないですか?」
「まあ自動洗浄のシステム上、しゃあないわな」
「あと一定時間動かないと電気がふと消えるじゃないですか。あれも勘弁してほしいです」
「どんだけトイレにこもっとんねん」
「寝てるんですねきっと」
「失神しとるんちゃう?」
診察したろかなんて言ってくる彼に結構ですとこたえる。
「怖い話と言えば、出るらしいですね」
自分が聞いた噂の部屋を告げる。忍足くんも聞いたことあるらしく、ああその話かといったことを言っている。眠気を振り払うようにあくびとともに、まあ本当かどうかなんてわかりませんけどねーなんてこぼす。
そんな生産性のない会話の中、ふと連絡が入り来て欲しいことが告げられる。何があったのか軽く聞きつつ、直接その場に行った方がよさそうだと判断し、今から向かうことを告げ立ち上がる。
電話を切り、こちらを見ている忍足くんに要件を伝え、これから向かうことを伝える。行ってらっしゃいと言われるが、ふと私の背中に向け彼が呟いた。
「あ。そこ行くんならあの部屋の前通るやん」
「……」
私はぴしりと固まった。嫌に窓の先にある闇の世界が目に付く。
先ほどまでは二人で会話していたこともあり、大きく気にしなかったが。今から、この夜更けに、一人で。そう思うと足がすくんだ。先ほどまで特に深く考えず話をしていた自分を恨んだ。
立ち尽くす私に、なまえと名前を呼び声をかける忍足くん。私は彼の方を振り向き、申し訳ない思いを抱えつつ懇願した。
「その……怖くなっちゃったので、一緒に来てください」
「なんやねん」
おもろいな自分と言いながら彼は微笑みかけ、立ち上がった。
助かります。
隣に立つ彼の存在に感謝しつつ私たちは部屋を後にした。