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研修医仲間の大石
医学部を卒業し国家試験も終わった。無事に医師免許を取得したものの、地獄のような繁忙な日々が続いていた。
医局に戻り椅子に深く腰掛ける。ピッチを机に置き、今日こそはそれが鳴らないことを全力で祈りながら体に力を抜いて息を吐く。
「研修医って何でこんなに人権ないの」
「だ、大丈夫かいなまえちゃん」
そんな私のボヤキを拾って心配してくれる同期の大石君。大学の時は軽く挨拶をしているくらいだったが、この病院で一緒に研修医をするようになってから、同じ大学ということもありよく話すようになった。もはや戦友だ。
「給料と労力が見合ってなさすぎる」
「それは、確かに言えなくもないね」
そんな愚痴をこぼす私に困り顔でねぎらいの言葉をくれる大石君。しかもコーヒーまでいれてきてくれた。いい人すぎる。
「そもそも救急のあの超人っぷりがおかしい。大石君は今何科だっけ?」
「今は整形だよ」
「整形かー。あれ、そういえば大石君は整形やりたいんだっけ?」
確かこの前、スポーツドクターを目指していると言っていたことを思い出した。大石君は、興味ある分野だよと笑顔で返してくる。
何でも医師を志したきっかけは、自身のテニス部での経験が大きいとのことだ。中学から医師を志し、その夢に向かって着実に歩んでいる大石君。これからのことを楽しそうに語る大石君に私の心も弾んだ。
「そうなんだね。私も頑張らないとな」
「もう充分頑張ってるよ。なまえちゃんは何科志望だっけ?前に聞いた気もするんだど……確か」
私はねと答えようとしたら、机上にあるピッチが鳴った。やはり来たか。大石君にごめんと伝え、急いで電話に出る。
重傷者を乗せた救急車が同時に2台来るから仮眠入るところ悪いけれど来てくれ、そう言われ私はすぐ行きますと返事をする。
立ち上がり持ち物をチェックする。
「急患?」
「うん。重症同時に2名」
「こりゃ大変」
「行ってくるね」
「いってらっしゃい。お疲れ様」
コーヒーのお礼を言い、先ほど歩いてきた道を逆に進む。
忙しいけど、充実している。私も、彼のように夢に向かって進んでいこう。気合いを入れて救急の現場に急いだ。