カグラバチ
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空を見上げた瞬間、冷たいものが頬に当たった。
「雨や」
手をかざしぽつりと落とした柴の声に続くように、雨脚が一気に強まった。地面が濡れ、空気に湿った匂いが広がる。
とりあえず退避と近くにあった雨がよけられる場所へと移動した三人は、揃って鉛色の空を見上げた。
僅かに濡れた箇所を手拭で丁寧に拭いながら薊が困ったように告げる。
「結構降ってきたね」
「雨とか聞いてへんわ」
そのまま薊の手拭を受け取り、自身を拭いながら柴が肩をすくめた。そんな二人を横目にみことが徐に傘を取り出した。
「私、大きい傘持っているよ」
「三人で傘一本……か」
薊がみことの手にしている傘と自分たち三人を見比べる。
その視線の意味を察したのか、柴が冗談めかして言った。
「みこと、結界術で何とかならんの」
「そもそも柴お得意の移動術で行けばいいんじゃない」
「あのね柴、みこと。妖術は影の存在。そうホイホイ人に見つかる場所でやっちゃダメだって言われているだろう」
正論だった。それにここは人も多い。柴とみことは僅かに口をとがらせ、空を見上げる。
「俺濡れてもええねん、お前ら二人で入りや」
「なんで私と薊が相合傘しなきゃいけないのよ。柴と薊で使いなよ」
「僕と柴で相合傘のほうが事故だろう」
三人の視線が宙をさまよい、全員が同時に同じ結論に辿り着く。雨は弱まるところか、囃し立てるように激しい音を立て地面へと降り注いでいる。
一拍の沈黙のあと、みことがため息混じりに傘を開いた。
「あーもう。三人で入ろう。大きいからいけるはず」
ほらと、みことが傘を差し二人の方に僅かに傾ける。傘の下にそれぞれが身を寄せると、すぐに窮屈さが露わとなった。
「みこと、お前俺らより小さいねんから真ん中や」
「ほらほらみことも柴も、もっと詰めて」
「ちょ……狭っ!」
雨粒が傘を叩く。肩と肩がぶつかり、体温が直接伝わってくる。
「人間って案外折れ曲がれるんやなあ」
暢気なことを呟く柴に薊が微かに笑い声をあげた。左右から遠慮なくずしりと肩にのしかかってくる二人にみことは再びため息をこぼした。
結局、一本の傘に三人で無理やり収まる羽目となったのだった。
「ねえ、あれって」
「柴さんと薊さんと……真ん中にいるのはよく見えないけど、きっと鎺さんかな」
「……距離感、おかしくない?」
「あーあの三人は何かいつもあんな感じ」
