カグラバチ
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「じゃじゃーん!見ろ!新しい包丁だ!」
誇らしげに自前の効果音とともに掲げられたものを三人の前に出す。
どこかいつもの六平の作風とは違うようにも感じるが、刀身の滑らかさ、煌めく銀の反射は刀匠六平国重がうったにふさわしい凛とした美しさを醸し出していた。
だが全員が目の前にあるものを見てぽかんとしている。
自分で効果音をつける六平には今更ツッコミは不要。三人は六平の手にあるものに視線を注いでいた。
そんな微妙な空気の中、柴が徐に口を開いた。
「包丁……?」
「お前それ、刀じゃないか?」
「包丁というより、懐刀では?」
「刀じゃない。包丁だぞ?この通り切れるし」
そういいスパンと目の前にあった木片を切る。
「うわ、綺麗……」
「いや感心するとこちゃうねん」
「感心してしまうのが腹立つ」
見事な太刀筋で、切られた木片の断面も美しいなと三人が思う。それと同時に、いやそうじゃないだろう!とツッコミをいれた。
「用途が食材限定じゃない時点でアウトな気がする」
みことの言葉に、うんうんと同意する二人。六平はそうか?というようにすっとぼけた顔をしている。
「で、それを使ってお前が何を作るつもりなんだ」
家事が全くできない生活力皆無の六平が包丁を持ってきた。ということは、料理でもしようとしているのかと思い至った薊が六平に投げかける。
だが六平ははたまた、すっとぼけた顔をして考え込んだ。その様子に三人はあきれ顔をした。
「……米?」
「刈り取るところから始める気なの?」
「違う。精米」
三人は一斉に天を仰いだ。
「炊け」
「どこで使うつもりやったん」
全く困ったものだという雰囲気の三人に、六平は口をとがらせる。
六平は自称包丁を緩やかに撫でながら、刀身を見つめる。どこか嬉しそうに眩いものを見るようにして、ぽつりと呟いた。
「……最近の若いのは筋がいい」
その一言に三人は一瞬、何を言っているのかわからなかった。
だが、次の瞬間、目を見合わせた。
「せっかくチヒロが上手く作ったからな。つい嬉しくなって、」
「あ、じゃあ包丁だ」「包丁やな」「最高の包丁だね」
三人の豹変ぶりに今度は六平が呆れたような表情をした。
この三人はどこまでも自分の息子である千鉱に甘い。
「その包丁、いただこう」
「見事な刃渡り。やはり神童や!チヒロ君!」
「なんでも切れそうだね。うん、チヒロ君が作った包丁は素晴らしいね」
「お前らなぁ」
まあそれは自分も一緒か、と六平は包丁を全力で愛でている三人をみて笑みをこぼした。
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