禍祓いの影札
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「――という訳で。今回同行します䕃です」
「上が強力な助っ人が来る、とか言っていたからどんなかと思ったら……。ちんちくりんだな」
そんな失礼なことを呟きながら、中老の人物がみことを品定めするように眺める。その視線にみことはどこか気まずさを覚えた。
今のみことは、他人からは男に見えている。結界の応用によるこの術は、匂いや玄力、身長といったものは誤魔化せない。女の時は普通でも、男となったら小さい方になるのであろう。まだまだ課題だなぁと改善点をぼんやりと考えた。
「まあいい。俺が隊長だ」
「よろしくお願いします隊長さん」
ぺこりと頭を下げ、隊に合流する。これからの作戦を簡単に告げられ、目的地まで移動をすることになった。
みことは歩きながら隊の人員を確認した。若めの人物が二名、みことと同い年くらいの者が一名、先ほどの隊長が一名。みことを合わせて五人の小隊。
――あれ?
みことは同い年くらいの者に、どこか見覚えがあった気がした。どこかで会ったかと目を細め眺めていたら、その視線に気がついたのか、こちらを睨んできた。
「お前、刀は?」
「……刀?ああ。私は基本、刀をつかわないんです」
「はあ?!」
刀社会の時代に信じられないといったばかりの顔をされた。顔に傷や装飾もついており、みことは、偏見はいけないと分かりながらも、不良、ヤンキーの文字が脳裏をよぎった。
「巳坂。彼は結界術の達人らしい。今回、同行するのもそれが理由だ。戦闘は俺たちがやる」
「チッ。そういうことか」
巳坂と呼ばれた彼は、つまらんとばかりにそっぽを向いた。隊長はみことに対して戦闘面ははなから期待していないといった様子だ。
――巳坂。みことはその苗字を心の中で復唱する。髪の感じ、雰囲気。以前、弟がいると言われたこと。みことは合点がいった。
「もしかして、イブキさんの……?」
ポツリと独り言をこぼしたみことに対し、彼はああ?とすかさず反応した。
「兄貴を知ってんのか?」
「はい。まあ、」
「妖刀の契約者だったんですから、知ってて当然でしょう」
「憧れますよねー!」
みことが巳坂の問いに応えると、食い気味に若い二人が憧れの眼差しを携えながら意見を述べた。巳坂はそんな二人の様子に、フンと顔を逸らした。兄が褒められてどこか喜んでいることが隠しきれていない雰囲気を感じ取れる。
伊武基も弟を溺愛していたことを思い出し、みことは笑った。
「お前達、世間話はそれくらいだ」
着いたぞ、と隊長が会話と共に足を止める。どこか先ほどよりとげのある物言いだった。
「――所詮は人殺しだろう」
ポツリと小さく溢した隊長の言葉を、みことは聞き逃さなかった。みことの視界の隅で、微かに巳坂の肩も揺れた気がした。
作戦開始。隊長はその一言は大きく言い、それぞれが任についた。
