カグラバチ
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「勝利?……いや、これは、ただの終焉だ」
傍らにいた人物が吐き捨てるように言葉をこぼす。
この戦争、それを経た一人の人物の暴走、これまでの数多くの犠牲を思い、手を震わせながら立ち尽くすしかなかった。
戦争終末の空気は重く、誰も口を開かない。
遠く場違いに咲き乱れる花畑を前にして立つ自分たちの姿だけが、互いの心の痛みを映していた。
刀が示したのは勝利ではなく、犠牲と後悔、そして絶え間ない問いかけ
――「これで、本当に正しかったのか」と。
微睡みからゆっくりと目を開く。
心臓が早鐘をうっている。夜の帳がおりる中、その音だけが自分の世界に響いている気がした。
落ち着かせるように深く呼吸をする。
ふと、傍らからの微かな寝息が耳に届いた。
そうだった。どうやら寝付かせてそのまま自身も眠ってしまったらしい。
身体を起こし、穏やかな寝顔を浮かべている千鉱を眺める。寝返りを何回かしたのか、かけていた布から微かに体がはみ出ていた。その無防備さに思わず頬が緩む。布をかけ直し、落ち着かせるようにトントンと手を置く。
六平に似ている。だが、あの人にもよく似た横顔。何も知らないままこのまま健やかに育ってほしい、大人の勝手かもしれないが、そう祈りを込める。それがどれほど難しい願いか知りながらも祈らずにはいられない。
これからの時代を生きるこの子たちが過去に縛られる必要なんてない。
答え合わせをしないまま終わった感情ごと、あの人は私の人生に残っている。
失ったのではなく、別の側に立っただけなのに、心はまだあの頃を覚えている。
同じ側に立てなくなった今でも、共に過ごした日々が私の世界だった時間は確かにあった。共に語り合った日々が私を形作った。
今、この子を守る選択は、私のものだ。
貴方を終わらせる決意に憎しみはない。
次の世代に私たちの業を背負わせない――ただ、そのためだけに。
眠る千鉱に、そっと再び祈りを込める。
そして、静かに部屋を後にした。
