カグラバチ
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目の前のカーブをいなし、道が開けた。直線の道。みことはアクセルをベタ踏みしながらミラーを一瞥した。
――意外としつこいな。そろそろ終わらせるとするか。
追ってくる相手の位置、路肩の障害物、電柱や看板まで瞬時に把握する。みことは値踏みするように、助手席に座る千鉱を一瞥した。口元にわずかな笑みが浮かぶ。
「チヒロ君、運転をしたことは?」
「……あります」
千鉱はみことの様子にどこか嫌な予感がした。
みことが徐にシートベルトを外し、警告音が車内に響く。
うるさいとばかりにみことはドアを開け放った。
風が吹き込む車内で、警報音が耳を穿つ。
千鉱が反応する暇もなく、みことは手を伸ばして千鉱の手を掴み、ハンドルを握らせた。身を乗り出して笑顔を向ける。
「それじゃあ、よろしく!」
「え?……え?!ちょっと、みことさん?」
みことは手首の綾紐を外の電柱に伸ばし、そのままひらりと外に飛び出した。
ドアが閉まり、ガクンと車が一瞬揺れる。背筋がぞくりとする。
――どうして自分の周りは、こうも規格外なことをする大人ばかりなんだ!
表情を崩さないまま、心で叫びながらも、強くハンドルを握り直す。
みことはまだ庇う側のつもりでいる。勝手にこっちへ来たのは自分だ。とうに覚悟は決めている。
千鉱は奥歯を噛みしめながら、助手席から運転席へ滑り込んだ。その動きは、思ったよりも迷いがなかった。
シートベルトを引っ張り乱雑に突き刺す。警報音が止まり、エンジン音だけが響く。
ミラー越しに、みことが相手の車のボンネットに乗りあげ、フロントガラスを叩き割った姿を捉えた。
「帰ったら絶対に文句言おう」
千鉱は呟きとともにしかと心に誓った。どうせまた笑って誤魔化すのだろうけれど。
ハンドルを握る。
重みは思ったよりも、しっくりきた。
