カグラバチ
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千鉱が出ていった部屋に、一瞬の沈黙がおりた。
「何故話した」
「剣聖のことは、話しとらん」
柴は白旗をあげるように告げた。
直接は話していないが、賢い千鉱は点を繋ぎ合わせ答えにたどり着いてしまうかもしれない。その可能性がないとは言い切れなかった。
真打、剣聖についての真実。いつもそれらに関して、六平たちは口を閉ざし言葉を濁してきた。その暗い面を千鉱が知るには、まだ早かった。
だが、いつか話さねばならないと六平自身も分かってはいた。刀匠として信念と責任を背負う覚悟を。
「ほな、俺はこの辺で帰るわ」
またと挨拶を交わし、柴は外に出る。
新月だからか、今日はよく星が見えた。柴は空を見上げながら、物思いにふける。
――六平とみことは、真打を折るための妖刀を作ろうとしている。
戦後から、妖刀を折る方法を模索していた。
理屈では成功しそうだという話も聞いた。そのすぐ後、雫天石に玄力を込めたことでみことが倒れ、数日にわたり寝込んだのも記憶に新しい。
目が覚めた時、本人は何てことないという様子であったが、かなり無理をしたのは確実だった。規格外の玄力操作ができるみことでなければ、命を落としたかもしれない。だがそれほどみことにとって真打を折るのは悲願でもあるのだろう。だからこそ無理をした。
剣聖とみこと。
柴たちは二人の間には通じ合うものがあったと感じていた。二人にしかない世界が確かにあったのは事実。
神奈備が剣聖を封じている本部にみことを近付けたくないも、一種の恐れからであろう。
だが、剣聖とみことの関係は、答え合わせをしないまま今に至っている。
もし二人がその関係に名前をつけ、答えを出していたら、情に訴えることができたかもしれない。結局のところは、当人にしか分からない。
「ほんま難儀なこっちゃ」
気だるげに煙草を取り出し、火をつける。
煙はゆらゆらと迷うように立ち昇り、夜更けの道へと溶けて消える。柴は煙の匂いを嗅ぎながら、心の中の重さをふっと吐き出すように夜空を見上げた。
