PokémonSS
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―ナマエ、お前は自由だ。
通信機から告げられた言葉に、理解が追い付かなかった。
「え。何の、冗談ですか」
―冗談ではない。本日をもって、ロケット団は解散した。私は己を鍛えるため、修行に出る。
だからお前も自由に生きろと。
「坊ちゃまは、」
―安心しろ。あいつは大丈夫だ。
では、達者でな。今まで仕えていたことの礼を言われ、一方的に通信が切れた。
「お待ちください!サカキ様!」
私が叫んでも、通信は繋がっていない。こちらからかけても、使用されていない番号ですという無機質なアナウンスだけが響く。
いったい何がおきているのか。茫然と立ち尽くすしかなかった。
今まで命令され、それをこなすことが生きがいだった。それが、いきなり自由だなどと言われた。どうすればいいのか。
自由って、なに?
孤児だった私を育て、鍛え上げ、坊ちゃまのお付き人という名誉あるお役目をいただいていた。それだけでも十分幸せであったが、お前に頼みたいとホウエン地方の巨大企業の監視と情報収集役、要はスパイとして任命されたときは光栄至極だった。泣きつく坊ちゃまを説得し、このホウエンのデボンコーポレーションにやって来た。
ホウエンの地にいる間、本部のあるカントー地方で一人の少年がロケット団を壊滅させた。その噂を聞いた時、何の冗談だと思った。だが、その噂を耳にしてすぐに届いたサカキ様からの先ほどの電話。私は、カントーにいるべきだったのだろうか。
それに、坊ちゃまはどうなったのだろうか。安心しろと言っていたが。
「戻ろう、カントー地方に」
胸に不安が募る。いてもたってもいられなくなった私は、部屋を飛び出した。
「ナマエちゃん」
部屋を出てすぐにかけられたその声に、思わず足が止まる。
そこにいるのは、銀髪の彼。
彼の人となりを調査し、彼の優しさに付け込んで、このデボンコーポレーションにもぐりこんだ。
だが、それも今日でおしまいだ。
今まで騙していてごめんなさい。
目と目が合う。とうに捨てたはずの罪悪感が胸に溢れた。
いったいどうして、貴方がそんな悲し気な辛い顔をしているの。