PokémonSS
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私がポケモンスクールに通っていた頃。スクールと同じカナズミシティにある大きな会社の御曹司が、若くしてチャンピオンになったとの話で持ちきりだった。かく言う私もその話題に盛り上がっていた一人だ。
チャンピオン戦のテレビ中継を食い入るように見ていた。相棒のポケモンたちと共に、激闘を繰り広げる雄々しい姿、インタビューを受けるときの凛とした姿。
目が離せなかった。
それからもチャンピオンの防衛戦を重ね、チャンピオンであり続けたダイゴさん。防衛戦が行われる度に、相棒のポケモンたちと共に食い入るように試合を見ていた。
私もあの人のようにと、その背を追いかけるようになるまでは、そう時間はかからなかった。
だが、憧れだけでは到底到達できない場所にダイゴさんはいた。
毎回負けては、お決まりの台詞を言われ、次こそはと相棒たちとも特訓を重ねていた。懲りずに訪れる私に、ダイゴさんがサイユウシティで会うと「いらっしゃい」と言ってくるようにまでになった。
そんな中、ある日突然、ダイゴさんはチャンピオンでなくなった。
年若いトレーナーが、彼に勝利したのだ。
空から降り立った私は、風が止むと同時に静かに目を開けた。
目の前には、近いのに遠い彼がいる。
突如として目の前に現れた私に、どういうことかという顔をしている。やっと、見つけた。真っ直ぐに見つめる私を彼もまた見据えた。
「僕は、もうチャンピオンじゃないよ」
「関係ありません」
「?」
「私は、チャンピオンになりたいんじゃない」
そう。私が目指しているのは。
「ダイゴさん。私は、貴方の背中をずっと追いかけていました」
そして、貴方を超えたい。いつしかそう思うようになった。
ダイゴさんが驚きの表情を浮かべている。今まで、チャンピオンになりたいから来ていたと思っているのだろうか。チャンピオンの座が欲しいわけじゃない。ただ、
「貴方に勝ちます!」
ボールを構え、彼に告げる。そんな私に、その言葉を待っていたとばかりに彼が口角を挙げた。
「いいね。さあ、はじめよう!」
その言葉と同時に、お互いのボールが空に舞い上がった。
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