PokémonSS
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どこまでも広がる大地を見下ろす。風が心地よい。
傍らに控えているゼクロムを撫でる少女。その瞳は真っ直ぐに前を見ているようで、どこか遠くに思いを馳せているようだ。
「どなたか、探しているんですか?」
「ナマエさん」
「時々何か寂し気に見つめているので」
「……分かりません。私が探しているのか、むしろ彼に見つけて欲しいのか。けど、そうですね」
寂しいのかもしれません、と告げる彼女が切なげに笑った。その笑顔に胸が痛くなる。
「もう行きます。ナマエさん、お世話になりました」
「どちらに?」
ゼクロムが準備万端とばかりに彼女に背中を向けた。ポニーテールをはためかせながら、ひらりとその背に飛び乗った。
「風が吹くままに」
空を見上げた後、こちらに振り向いた彼女は笑っていた。英雄と讃えられチャンピオンにもなった彼女。だが、まだ年若い。その重荷をせめてここでは降ろして年相応の時を過ごして欲しいと思う私は我儘だろうか。
「また来ます」
その言葉と共に、ゼクロムが空に舞い上がった。ゼクロムが起こした風と、自然に吹く風が混ざり合い頬を撫でた。
いつか彼女がレシラムを連れたトレーナーと共にここを訪れる日がくることを静かに願った。