フェルム地方出身
第二章
名前変換
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「はじめて見る石ですわ」
「ツツジさんもご存知ありませんでしたか」
「知識不足で申し訳ありません。進化の石ともキーストーンともいのちのたまといったものとも違う。興味深いですわ!」
そう言いながら目を輝かせる少女ことツツジさん。
はじめて会った時は、ジムリーダーということもあり優等生で大人びた雰囲気をただよわせていたが、好きなものに対して興味津々である今のこの姿を見ると年相応に見える。
ツツジさんから色々な質問をされる。それに応えるが、私がホウエン地方の文化等に戸惑うように、ホウエン地方の人たちもフェルム地方の文化等に驚きを隠せない様子だ。
「なるほど。指示などを口でしなくても、心で思うだけでもポケモンが動く。しかもその動きは、ただの技だけでなく行動も。バトル中に共鳴という心のつながり、同調のようなものがピークに達すると、ポケモンの姿も変わるのですね?」
「はい。変わらないポケモンもいましたが、共鳴バースト中はオーラを纏ったり大技を繰り出したりできるようになります」
「しかも、それは試合中一度だけでなく何度も?」
「そうですね。共鳴率を高めなければなりませんが」
私が答えると、ツツジさんはふむと口元に手を当てる。何か考え込んでいる様子だ。
「メガシンカかと思いましたが、それとも違う。しかもパートナーとしているポケモンは、モンスターボールを投げてもモンスターボールが反応しない。モンスターボールを使わなくても、既にゲットされている状態ということ?それなら、モンスターボールと同様の効果もありそう。確かにモンスターボールも、ぼんぐりとたま石からできているし。もしかして、たま石とキーストーンを織り交ぜたようなもの?いや、でも……」
「あれ。ツツジさーん?」
何かぶつぶつ呟いているツツジさんは、完全に自分の世界に入っていた。
そんなツツジさんの様子を眺めながら、出されていた紅茶をありがたくいただく。隣に控えていたガブリアスもツツジさんの様子に目を点にしている。
「うーん。分かりませんわ。更にお勉強をしなくては!何か分かりましたら連絡いたしますわ。ネリネさん。連絡先、交換しましょう!」
「え?!は、はい!」
そう言い携帯機をぐいと前に出すツツジさん。私もポケットからこの前新しく手に入れた携帯機を取り出す。それもフェルム地方のかと聞かれたが、ホウエン地方で知り合いから譲ってもらったものだと伝えた。
連絡先に、新たにツツジさんが加わった。
「ありがとうございます。ツツジさん」
「さんだなんて、ツツジでいいですわ」
「それなら、私も」
「はい!よろしくネリネ!」
ぺかっと笑うツツジ。年がそれなりに近いこともあり、打ち解けるのも早かった。ホウエン地方、その気候もあるのか、温かい人が多い。
カナズミジムを後にして、私は次の目的地に向かう。
ポケナビを起動し、ハギさんに連絡をいれ、カナズミジムでのやりとりを伝える。フェルム地方のことに関しては分からないままであったが、友達ができたことを喜んでくれた。それから用事を済ませた後に夕飯の買い出しをすることを請け負い、電話をきる。
あれから私はハギさんの家に居候する形となった。
ハギさんの家に着いたら、ポケナビをプレゼントされた。どうやら彼らの知り合いにお偉いさんがいるらしい。コンパクトタイプの新たなポケナビを開発中らしく、その試作品を渡してくれたようだ。
連絡先はハギさんとツツジさんで二人目だ。何かあればハギさんを通じてゲンジさんから連絡が来るようであるが、今はまだ連絡がない。ゲンジさんも今度会った時に教えて貰おう。
今は、ハギさんの漁を手伝ったり、家事をしたり。時々、ポケモンバトルをして賞金を稼いだりしている。私たちはどうやらそれなりに強いらしい。懐は温かい状態だ。
まだホウエン地方に来て数日しか経っていないが、その間に過去数年分を足しても足りないくらい色々な初めましてに出会った。ポケモンジムというものも興味深いものだ。チャレンジするのもありかもしれないななんてぼんやり考えるが、ポケモンバトルのルールが違いすぎるところもあり野良くらいがちょうどいいかもしれない。それにIDもエラーだし。
足元にいたブラッキーが鳴き声をあげ私の足にすり寄る。足を止めると、エーフィとガブリアスもあっちあっちとジェスチャーをしていた。
道、間違えた。
パートナーたちに連れられ、やってきた目的地。
建物の入り口には、デボンコーポレーションと書かれていた。