フェルム地方出身
第一章
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
109番水道の波止場にやってきた。ハギさんが船の出発の準備をしている。手伝うといったが、頑なに平気だと言われたため目の前に広がる海を眺めていた。
ネリネと名前を呼ばれ、振り向くとゲンジさんがいた。どうやらボーマンダに乗ってここに来たらしい。
「出発か。気をつけてな」
「ゲンジさん、ありがとうございました」
「わしもフェルム地方について調べてみる。何かあれば連絡する」
「ありがとうございます。ですが、連絡といっても、どうやって?」
「ポケナビやポケギアは持っていないのか?」
「なんですそれ?」
そう言うと、ゲンジさんは驚いたような顔をしてどこかに連絡を入れていた。ブッキー元気か、なんて話をしている。
電話を終えた後ハギさんに何かを伝えており、承知したとハギさんは告げていた。
なんのやりとりだろうか。
「よし!準備完了!ネリネちゃん、はじめは船が揺れるからの。ガブリアスたちはボールにしまえそうか?」
ボール?とまたまた疑問を浮かべる私に、二人はまた不思議そうな顔をした。そして、徐に先ほどの海パンの男性が投げたようなカプセル式のボールを取り出した。
「フェルム地方は、モンスターボールを持たずにポケモンを連れているのか?」
「はい。フェルムでは見たことがないです」
「何と不思議な」
試しにえいやとガブリアスにボールをあててみるも、ボールは全く反応しなかった。もう一度と思い、投げるもガブリアスは遊びと勘違いしたのか、こちらに嬉しそうに投げ返してきた。うん。違うかな。
「反応もせんとは」
「ますます不思議じゃの。どうやってポケモンを連れているんじゃ?」
「何でしょう。自然と一緒に過ごしていましたし。私たちを繋いでいるものと言えば、この共鳴石でしょうか」
共鳴石?と疑問を浮かべる二人に、私は耳につけていたバトルグラスを外し見せる。フェルム地方でとれる鉱石。これがモンスターボールのようなものだったのかと、ハギさんが呟く。
ふむ、石かと呟いたゲンジさん。その呟きに何か思い当たることがあったのか、彼に聞いてみるのがいいかもしれんのと、ハギさんが告げていた。ゲンジさんは頷き、再びどこかに連絡を入れていた。
ハギさん曰く、知り合いに石に詳しい人がいるらしい。
「……何?そうか。分かった。また連絡する」
「どうした?」
「どうやら今は何か手が離せん事情があるらしい。後ろも騒がしかった」
「立場上忙しいのも納得じゃな」
「今はリーグも開催していないが何をしているんだか。またどこかで連絡を入れて聞いてみるさ」
そう言い、ゲンジさんはすまないなと謝ってきた。
「その石を調べれば何かしらヒントがありそうだと踏んだのだが」
「カナズミはわしの家の近くじゃ。帰ったら、そこのジムリーダーを尋ねてみるかの」
ジムリーダー。また知らない単語だ。頭がパンクしそうだ。
今は得体の知れない者である私にも、親切に色々と協力してくれる二人にひたすら感謝するしかなかった。
では行くかと告げられ、船に乗り込む。ガブリアスたちはそのまま乗った。はじめ揺れるから気を付けてと告げると、ぎゃうと元気に返事をした。
「ポケモンの様子で、そのトレーナーが分かるとは言われているが。ふむ。ネリネ。お主はよきトレーナーだな」
そう告げた後、ゲンジさんはボーマンダに颯爽と乗り去っていった。ストレートに褒められたことに少しばかり照れくさくなる。ありがとうございます。と呟くもゲンジさんを乗せたボーマンダは既に遥か遠くにいた。