フェルム地方出身
最終章
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ただいまと声をかけ、中に入る。
ハギさんの元に丁度ゲンジさんも尋ねていたようで、二人が顔だけをこちらに向けている。丁度飲み物を飲もうとしていたタイミングだったらしく、湯呑を片手に口をぽっかりと開けたままだ。その様子にクスリと笑えた。
「ネリネちゃん?!どうしたんじゃ」
「ネリネ。久しぶりだな」
二人が立ち上がりこちらに来る。何でも、ハギさんとゲンジさんは今回の騒動、有事の際に住民の避難がすぐにできるようにムクゲさんたちと共に秘密裏に動いているらしい。そうだったのか。
トクサネ宇宙センターにかかりきりだろうと思っていた私が突如として現れたため驚いたという。なんにせよ、ゲンジさんもここにいてくださったのは有難い。
「ハギさん、ゲンジさん。本当にお世話になりました」
「ネリネちゃん、なんじゃ改まって?」
「そうだぞその言い方、まるで」
別れのようだ、と言いたげだ。
「隕石も迫っていますし。もしかしたら、と思って。ほら、今までしっかりお礼を言えていなかったですし」
「なに今更言っておるんじゃ」
「……」
いつも感謝は言葉にしておるじゃろとハギさんは、頭を撫でてくる。出会った時から変わらない豪快さの中にある優しさに胸がいっぱいになる。
それから少し会話をし、もう行きますと出口に向かう。
「ネリネよ」
「ゲンジさん?」
「お主が何をしようとしているのか、それはワシには分からん。だが、きっと悩んだ上で、決めたことなのだろう。お主が決めたこと。それをワシは止める権利はない。だが忘れるな、ワシもハギちゃんも、ブッキーも、お主に会った皆がお主を大切に思っておる」
すべてを見透かされたようなゲンジさんの発言に思わず息をのむ。必ずまた会おう、そう告げてくるゲンジさん。はいと告げようとした。だが、私が告げる前に、分かっているとばかりにゲンジさんが私の頭を押すように撫でた。
「行ってきます」
「ああ」
「気を付けるのじゃぞ」
ダイゴくんにもよろしくと、告げられ二人に背を向ける。次はカナズミだとエーフィに告げる。
カナズミシティで、忙しそうなツツジに会った。最初のジムリーダーということもあっていつも多くの挑戦者を相手にしているツツジには本当に頭が下がる思いだ。そんな忙しい中で時間をとってくれたツツジと会話をして、別れ際に呼び止められた。
「ネリネ。貴女!一緒に石を採りに行く約束、忘れてませんこと?」
だから、戻ってくるのよと言外に伝えてくる。何かそんなに私悲壮感のようなものが漂っているのだろうか?そんな疑問を持ちながら、ムクゲさんに会い、最後に以前お世話になったバーネット博士に連絡を繋いでもらった。
ー久しぶりねネリネ。
「バーネットさん、以前はありがとうございました。シンオウ地方にも、無事に行けました」
それは良かったと笑顔で告げられる。それから少し話をして、本題とばかりに私は疑問を溢す。
「バーネットさんは異次元の研究をしていると伺いました。もし、一つの世界に干渉して、その世界の過去を変えてしまった場合、その世界の未来は、どうなるんでしょうか?」
世界に干渉、そんなことができるだろうかということを疑問に持ちながらもバーネットさんは考え込むような様子を見せた。
ーそうね。よくタイムトラベルで取り沙汰される問題に近いかもしれないわね。もし、過去を変えた場合、もともとあった未来は存在しないことになる。消滅、に近いでしょうね。ただ、パラレルワールドとして存在し続ける可能性はあるわ。
「それは、いったいどういう?」
ーまた別の世界線に分岐するってこと。あ、けど、その未来の世界がもともとその改変した過去が大きな転機となってできたものなら、やはり存在は矛盾を生むから、ないものとして扱われるんじゃないかしら。
「やはり、消滅という形になるんでしょうか?」
何とも言えないわねと考えるバーネットさん。興味深い質問だと頭を悩ましている。ありがとうございましたとお礼を告げ、通信をきろうとした。
ー世界にはまだまだ未知のことが多いわ。これらは、あくまで可能性の話。何が正しいのかというのは、実際に起こるまでは分からないものよ。
物事というのは、意外と単純なこともある。だから、そんなに思いつめたような表情をしなくて大丈夫よと告げられる。
バーネットさんの笑顔に、どこか安心感を覚えた。アローラと挨拶を交わし、通信をきった。
立ち上がった私にガブリアス、エーフィ、ブラッキーが寄って来る。やはり、私がするべきことはただ一つ。大丈夫、きっとうまくいく。必要な犠牲、不必要な犠牲。それらを考える。それによる、結末はまだ分からない。
「戻ろう、トクサネ宇宙センターに」
ダイゴさんの元に。エーフィが頷き、額の石が眩く光った。