フェルム地方出身
第七章
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
フェルム地方。それは、こことはまた別のホウエン地方の遠いとおい未来の姿。
衝撃的な内容に私は言葉を失った。
確かに、ホウエン地方で見られる成分もあったと、以前デボンコーポレーションで共鳴石を解析して貰った時に言われていた。私があの134番水道にいたのも、フェルムスタジアムがあの付近に存在していたから?
「けど、なんで私は、この世界に来たのでしょう」
おババさんの話が真実だとしたら。いや、限りなく真実だろう。それならば、この世界にこのタイミングで私が来たのもきっと偶然ではない。私は、いったいどうすれば。
「人にはそれぞれの宿命がある。ネリネ様。貴女がこの世界に来たのには理由がある」
「理由?私がするべきことは、何なんでしょうか」
「己の信ずる道を行きなされ。その先に答えはある」
どういうことかと尋ねようとしたら、キーンと耳鳴りがした。この感じ、あの森の洋館であったあの感覚だ。
おババさんがおやと、顔を微かに上げた。
「時間のようじゃの。迎えが来ておる。そこから行くとよい」
そこ、と示されたのは水面だった。何だろうと覗くと、水面が揺れ、黒い渦巻の様なものが現れた。そして、そこから黒いポケモンが姿を現した。
「ギラ、ティナ?」
ポロリと零れた名前に、そのポケモンは嬉しそうに鳴き声を上げた。思わず久しぶりと声をかけそうになった。久しぶりも何も、初めてなのに。まただと思いながらも、きっとシガナとしての記憶なのだろうと今は思える。
「私のこと、覚えてる?」
私が尋ねると、もちろんとばかりに上空で一回転をした。それから一度既に会っているとばかりに何かを伝えようとしていた。どうやら、森の洋館からあの送りの泉に運んだのはこのギラティナだと分かった。
なんだか不思議な感じだ。わずかに釈然としないままでいる私に、ギラティナが乗れとばかりに背中を私の方に向けとまった。
どこに行くつもりなのだろうか。首を傾げる私に、ギラティナが黒い渦巻の先を示した。ネリネちゃんと微かに私の名を呼ぶ声とポケモンの声がする。
「この声は、ダイゴさん?それに、ガブリアスたちもいる?」
私がぽつりと言うとギラティナが正解とばかりに鳴いた。どうやらそこに連れて行こうとしてくれているらしい。
お礼を告げ、ギラティナの背中に飛び乗った。
おババさんは来ないのかとそちらを見るも、静かに立っているだけだ。ありがとうございましたとお礼を告げると、おババさんは心配無用とばかりに微笑んできた。僅かにおババさんの輪郭が揺らいでいる気がした。
何だろうかと疑問を持つと同時に、黒い渦巻の中にギラティナが飛び込んだ。
『ネリネよ。また会えたこと、嬉しく思うぞ』
その言葉が脳裏に響いた気がした。