フェルム地方出身
第六章
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シシコ座流星群。ホウエン地方では毎年観測ができる流星群ときいた。そして、今年は1000年に一度の規模だとか何とか。
先ほどダイゴさんから受け取った天体ショーのチケットを見る。SS席と書かれているのはこの際気にしないでおこう。そんなダイゴさんはムクゲさんに呼び出された。すぐ戻るからここで待っていてくれと、カナズミシティのカフェテラスで待っている。勝手に頼むのも悪いしと思って待っていたが、突然店員さんが飲み物を持ってきたので驚いた。去り際にダイゴさんが私にと注文していったらしい。
どうしようか悩んだが、このまま置いておくのも失礼かと後でお代を渡せばいいかと口にした。ガブリアス、エーフィ、ブラッキーは思いおもいに体を伸ばしくつろいでいた。空をみると晴天で、もうすぐあるシシコ座流星群も楽しみだなと思いを馳せた。
「お待たせネリネちゃん」
「ダイゴさん。お疲れ様です。ムクゲさんとのお話は大丈夫そうですか」
「ああ」
「飲み物、ありがとうござまいました。いただいちゃいました」
いいんだよと笑いながら、おやじも石やエネルギーの話になるとつい力が入ってしまって遅くなってしまったねと告げる彼に私も口元が緩む。
私にとってはダイゴさんとムクゲさんの二人のやりとりは面白いのだが、ダイゴさんにとっては困りもののようだ。
さて、改めてお話をしようかとダイゴさんも席に座り、飲み物を頼んでいた。
「ネリネちゃん。突然だけど、君はいつホウエン地方に来たんだっけ?」
しばらくは当たり障りのない内容を話していたが、ダイゴさんがじゃあ本題にというような雰囲気を纏った。ガブリアスたちもダイゴさんの雰囲気を感じ取ったのか、こちらに顔を向けている。
ハギさんとゲンジさんとの出会いも気が付けばそれなりの月日が経っている。正確な日付は不明確であったが、この頃だと思うと告げた。そうすると、ダイゴさんがふむと考え込んだ。
「やはり、君がこの地方に……いや、世界と言った方がいいのか。この世界に来たのはワープホールが関係してそうだ」
「ワープホール?」
聞き慣れな単語に疑問を浮かべる。
なんでもダイゴさん曰く、デボンコーポレーションはトクサネ宇宙センターと協力して次元転移装置のようなものを開発しているらしい。そのワープホールが一度何かの影響で暴走するトラブルが起きたらしく、しばらくは他地方も巻き込んだ大規模な電波障害が起きていたらしい。
「そのトラブルの時期って、まさか」
ダイゴさんが淡々と話す中で、私はある考えがわいた。ダイゴさんも私の考えが分かったか、正解だとばかりに頷いた。
「そうなんだ。君がホウエン地方にやって来たタイミングとぴったりなんだ」
「では、私は、その装置によって来たと?」
「いや。それはまだ確定はできない。トラブルの原因は振り切れるレベルの爆発的なエネルギーが観測されたことによるものなんだ。そのエネルギーのせいで装置が暴走したことによって君の世界とここがつながったのか。はたまた、そのエネルギー自体によって君が来たのか」
「そのエネルギーというのはいったい?」
「最近分かったんだけど、それはおそらくポケモンによるものだったんだ。それと、メガシンカのエネルギー」
どのポケモンによるものなのかは特定はできないけど、と告げるダイゴさん。メガシンカ、またこの言葉だと思えた。
「この前ネリネちゃんに見せてもらった共鳴石。それはキーストーンの性質もありつつ、どのメガストーンにもなり得る力を持っている。そして、共鳴バーストと呼ばれる現象、それはメガシンカの時のエネルギーと酷似している」
「そうなのですか?」
「前に、トウカの森で君はその力を使ったろう?」
そう告げられ、驚きと共にガブリアスと顔を合わす。たしかに旅芸人の方を助けたとき、驚かせたテッカニンの群れから逃れるために使った。
「その時に残っていたエネルギーを解析した結果も出てね。それで判明したんだ。それで、君がこの世界に来る直前、何かその力を使ったかい?」
この世界に来る直前。フェルムリーグの最終戦を終え、突如現れた黒い少女とポケモンと戦っていた。たしか、お互いの共鳴バーストがぶつかる瞬間、バーストアタックが繰り出される瞬間だったと思い出す。
「そうです。確かに、共鳴がぶつかるような瞬間でした」
やはりそうかとダイゴさんが呟く。
「とりあえず僕が把握している情報の中で、考えらえることを話しておこうと思ってね」
「ありがとうございます」
ダイゴさんから話をされた内容はどれも初めての情報ばかりで驚きを隠せなかった。
ポケモンのエネルギー、もしかしてシンオウの時空の神と呼ばれしポケモンたちなのではないかという考えが過る。だが、確信がない。
考え込むように飲み物を眺めていると、ダイゴさんの視線を感じて顔を上げると眉を下げ申し訳なさそうにしていた。
「逆に不安にさせてしまったかな?すまない」
「いいえ!初めての内容だったので、確かに驚きはしましたけれど、とても助かりました。大丈夫です」
ありがとうございますと告げるとダイゴさんは安心したような顔をして頬を指先で軽くひっかく様な動きをした。ふと、ダイゴさんが身につけている指輪や銀色の輪っかが目に付く。
「?どうかしたかい?」
「いえ。輪っかの位置、変えました?」
これかいと服の袖に着けている銀の輪っかをダイゴさんがしめす。私が頷くと、ダイゴさんが不思議な顔をする。
「これはいつもここつけているけれど、どこか違うところの時あったかな?」
「そうでしたっけ。もっと上の方だった気が、」
ここらへんと二の腕付近を示しながら、そういえば前も閉めていたようなと口にしそうになる。だが、そんなにダイゴさんに会うことがあっただろうか。
自分で言っておきながら、何だか違う気がしてきたので、勘違いでしたと笑って誤魔化して告げた。
それから突如、ダイゴさんにムクゲさんから連絡が来た。なんだか焦ったような感じだ。
「おやじ、どうしたというんだ落ち着け。……ああ。分かった。それなら、チャンピオンとなったあの子がきっと協力してくれるはずだ。連絡してみる」
そう告げて通話をきっている。何か起きたのだろうか。
「ネリネちゃん、すまない。急ぎの用事ができた。せっかくゆっくりと話ができそうだったのに」
「いえ。大丈夫ですか。私にも何か手伝えることがあったら」
私がそう告げガブリアスたちも任せろと鳴き声を出す。ダイゴさんは一瞬驚いたような顔をしていたが、いやそれはダメだというように頭をふった。
「ありがとう。だが、君まで巻き込むわけにはいかない」
「そう、ですか」
家まで送るよと告げられる。急ぎの案件なのだろうから、無理をさせるわけにはいかないと思い、買い物をして帰るから大丈夫とやんわり断った。改めて飲み物をお礼を告げて別れる。
ダイゴさんに手を振り、ホウエン地方でまた何かが起きようとしているのだろうかと空を見上げた。