フェルム地方出身
第一章
名前変換
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ホウエン地方。134番水道付近。
一艘の船がエンジン音を響かせ海を駆け巡っていた。
「タイドリップ号の完成ももうすぐじゃ。楽しみじゃのー」
「ハギちゃん、船長に打診されているんだろう。楽しみなことだ」
「ゲンちゃん、まだなるとは返事しとらんぞ」
豪快に舵をとる男の隣には海賊のようないで立ちの男がいた。厳格な雰囲気である二人が海を眺めながら楽しそうに談話をしている。海の波の音に負けないようにと大きな声で会話をする二人。年を感じさせないくらい声には覇気が満ち溢れてた。
ふと舵を取っていた男が海の方に注目をする。
「ん?なんじゃ。ピーコちゃんが騒いでおるの」
「あそこに何かあるのか?」
一匹のキャモメが、二人に何かを伝えようとしているのか一か所をくるくると回り鳴いている。
見事な舵裁きで船がそこに近付いていくと、3匹のポケモンが何かを守るように固まっているのに気が付いた。近くを飛んでいるキャモメを威嚇するように、一匹のポケモンが唸り声をあげている。
「なんじゃ?ホウエンではあまり見かけんポケモンじゃな」
「あれは、ガブリアスか」
なんでこんなところに、立派に整えた髭を撫でながらそう呟く男は、ただ事ではなさそうだと長年の直感が告げているのを感じた。
船が3匹の側に近付き、二人はその中心に人がいることに気が付いた。
「ゲンちゃん!人じゃ!」
ああと告げると同時に、男はポケモンを繰り出した。
「落ち着け。その人を助けるだけだ」
二人は威嚇してくる3匹を宥めながら、静かにその人物を船に引き上げる。まだ年若い女性のようだ。その人物を助けようとしているのが分かったのか、3匹は警戒する眼差しは消えていないが、静かになった。そのまま男たちはその3匹も船に乗せた。
「息はしておるの」
「キナギからここに繋がる海流に流されてきたか?」
「そうかもしれんな。とりあえずポケモンセンターに運ぶか」
男は頷きポケモンを繰り出す。彼の自慢の相棒であるボーマンダが嘶く。突如ボーマンダが出たことに驚いたのか、3匹はまた戦闘態勢になった。血気盛んな3匹に落ち着けと再び語り掛ける。
ふと肩にキャモメを載せた人物が、女性のポケットから出ている物に気が付き、それを取り上げた。顔写真と名前、IDが書かれている。どうやらトレーナーカードのようだ。
「見たことのないトレーナーカードじゃな。ネリネって名前のようじゃぞ、ゲンちゃん」
「なら、この子はトレーナーということか」
「恐らく。このガブリアス、エーフィ、ブラッキーはこの子のポケモンじゃろう」
そうなのかと3匹に聞くように視線を向けると、3匹は肯定するように鳴き声をあげた。
何はともあれ今はポケモンセンターにと思い、男はトレーナーカードを受け取り彼女を抱える。そのままボーマンダに飛び乗った。
「ここから近いのはカイナじゃの。わしから連絡は入れとく、頼んだぞゲンちゃん!」
「任せろハギちゃん!」
立てた親指と共に威勢よく声を上げる。男を乗せたボーマンダは瞬く間にその場を去った。