フェルム地方出身
第三章
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空は今日の旅立ちを祝福するように眩しいほど晴れ渡っている。
ハギさんの家からは、海がよく見える。
あれからちょこちょこ会ったりもしているツツジにも連絡を入れ、自身が別の世界の人である可能性も正直に伝えた。
びっくりするような声を上げており、更にシンオウ地方にこれから行こうとしていることも伝えると、絶句していた。
戻って来るんでしょうね?!なんて言われ、シンオウ地方である程度情報収集をしたら、ホウエン地方には戻るつもりであることは伝えた。安堵したような声音で、戻ってきたら報告がてらお茶でもしましょう、と誘われた。
それからシンオウ地方について色々と教えて貰った。珍しい石もあるらしい。本当にツツジは石が好きだな、と思ったものだ。
家の外の浜辺でガブリアスたちと海を眺めていると、ばさりという翼の音と共に隣に人が降り立った。この音は。
「ゲンジさん!お久しぶりです」
「ネリネ。ハギちゃんから、シンオウ地方に行くと聞いてな」
「はい。今日出発します!」
「そうか。気を付けてな」
どうやら私がシンオウ地方に行くのを知り急遽駆けつけてくれたようだ。ハギさんから私の現状は聞いていた様だが、今日まで仕事の傍らで知り合いにフェルム地方のことや私のことを尋ねていてくれたらしい。自分を気にかけてくれていたことに、感謝の念がわく。
「旅芸人の用心棒か」
「はい。うまくやれるか分かりませんが」
「ふむ。どうじゃ、せっかくだしわしとバトルしてみるか?ネリネのガブリアスとわしのボーマンダ。会った時からバトルをしたそうであった」
「いいんですか?!」
「ああ」
またとない誘いに、ガブリアスも嬉しそうに声をあげた。
「けどもし私が勝ったら、おじいちゃんからカツアゲみたいになってしまいますね」
「ほほう、自信たっぷりじゃなネリネよ」
素直に思ったことを告げた私を小突くゲンジさん。遠慮はいらんぞと、空に手を翳しボーマンダが構える。
「ゲンジさんも!」
バトルグラスに手を翳し、ガブリアスと心を交わす。1対1のバトルだ。
「いくぞネリネ!ボーマンダ、ドラゴンダイブ!」
早速遠慮なしの攻撃を仕掛けてきたゲンジさん。素早く力強い攻撃が繰り出される。空中相手は、リザードンとよく戦った。それと似た感じたと思いながら、ガブリアスに指示を出す。
ゲンジさんは強い。止まらぬ攻撃の嵐に、そう思わざるを得なかった。
激しい攻防を重ね、共鳴率がピークに達しようとしていた。ここで決める。
共鳴バーストをしようと、バトルグラスに手をかける。ゲンジさんも何か私が仕掛けると分かったのか、身構えた。
その瞬間。
「こおらああ!ゲンちゃん!ネリネちゃん!朝っぱらから浜辺で何しておる!!静かにせんかー!!」
「ハギちゃん……!」
「あ」
そうだ。ここはフェルム地方のフィールドとは違う。つい夢中になってしまい忘れていた。
バトル用に設備されていない場所で、いつも通りのバトルをしたらどうなるか。
この前のトウカの森で、テッカニンの群れを撃退したときに、その戦いの後の場所をみてまずいと思い、ガブリアスたちと反省会をしたのは記憶に新しい。
試合は中断となった。ゲンジさんと共に、私はハギさんにこっぴどく扱かれた。
ごめんなさい。もうしません。