気まぐれ更新連載
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「え、キバゴ?」
思わず声が出た。もしかして、さっきの群れの子だろうか。あたりを見回してもそのキバゴ以外のポケモンはいなかった。
キバゴは、ぎゅっと目をつむったまま、体を丸めて横たわっている。
もしや怪我をしているのかと、そろりと近づいた。
近づいた気配を察したのか、キバゴはうっすらと目を開けて、私の方を見た。こちらを威嚇するように、かすかに唸り声がした。そちらに向かっていた私の足が、思わずぴたりと止まった。
警戒されている。それもそうか。
「大丈夫。ちょっと君が心配なだけ」
このまま放っておくのも違うだろう。私は、両手を軽く上げて、キバゴが警戒心を少しでも減らせるようにと、穏やかな声を心掛けた。
しばらくの沈黙があった。
キバゴは薄目で変わらずこちらを見ているが、威嚇するような声はとまった。軽く息をつき、行けるかと判断して、私は足を進めた。
「怪我、しているのかな?」
近づいて、あらためて様子を観察する。
小さく震えているキバゴに、私は「大丈夫だよ」と告げながら静かに手を触れた。キバゴは、一瞬ピクリと体を大きく震わせた。
キバゴの全身状態をみて、これひどいと思わず顔をしかめた。擦り傷や咬傷、火傷のような跡もある。
持っていた籠の中身を確認する。確か、ラムの実とかオボンの実があった気がする。
籠をあらためながら、ふと私は、疑問に思った。――この子はどうしてここに一人ぼっちでいるのだろうか。
怪我をしているから無理に連れていけなかったのだろうか。安全のために、ここに隠していたのだろうか。
それならば、オノノクスたちが時機にここに戻ってくるかもしれない。変に人間が介入していたら、威嚇されそうだ。ましてや、怪我をして弱っているキバゴに対してだ。普通に怪しさ全開だ。もし同じような場面に遭遇したら、私だって何をしている!と襲い掛かるかもしれない。
それに、オノノクスの気性、先ほどの群れの様子から考えると、普通に怖い。
時刻を確認した。ただでさえ帰り道が分からなくなっているのに、暗くなったら、詰む。
早々に退散した方が良さそうだ。
「これ、ラムの実とオボンの実。食べやすいように剝いておくから、食べてね」
ついでにとオレンの実もそばに置いておいた。早く元気になるんだよと告げながら、体を軽く撫でる。
きゅう、と微かに安心するような声がキバゴから聞こえた。