四季めぐり
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夏休みに入り、どの部活も全国大会やインターハイに向け熱が入っている。拭っても拭ってもふき出す汗にため息を溢しながら、真剣に練習に打ち込んでいる部員を見つめた。
もうすぐ全国大会。テニス部は今週、全国大会が開催されると聞いた。
今日は暑いため、練習もほどほどにするようにと学校側から全体に指導が入った。道場もかなり蒸し暑く、格好も格好であるため、今日は大事をとって早めの解散となった。
着替えを済まし、テニス部は、真田君はどうしているだろうかと思い、訪れたことのなかったテニスコートに向かった。
コートに訪れると、多くの観客がいた。驚いた。テニス部は人気があると友人から聞いてはいたが、本当にその通りだった。
人に紛れつつ日陰を探し、遠くから練習の様子を見る。全国大会前で気合も入っていそうだ。それぞれが真剣な面持ちで練習をしている。真田君の姿がなく、どこかに行っているのだろうかと思っていたら、幸村君が休憩と声をかけたようだ。練習再開時刻が告げられ、それぞれが休憩に入っていく。
道場よりも風はあり、蒸している感じは少ないものの、直射日光が刺すように降り注いでいる。このような日陰でないと倒れそうだ。観客にいた子たちが、幸村君たちに飲み物を渡していたり、差し入れをしたりしている。気の利く人たちだな、なんて思いながら眺めている。
「お前さん、たしか真田の」
「?あ。仁王君。久しぶりだね」
「ここは涼しいの」
そう言い仁王君はよっこいせと腰かける。彼は暑さに弱そうだ。いや、弱くなくてもこの暑さは正直参る。
差し入れの一つもないことを申し訳なく思いつつ、仁王君に真田君はいないのかと尋ねる。
「真田は全国大会の抽選に行っちょる」
「そうなんだね」
「まあ抽選会場はここじゃから、もうすぐ……お、噂をすれば、じゃな」
「何をしている?」
「そう怖い顔しなさんな。今は休憩時間じゃ」
そう仁王君が両手を挙げて告げる。そんな仁王君を見たあと、真田君は私の方を見る。ユニフォーム姿で帽子をかぶっている真田君。居合のときとはまた違った精悍さに、思わず見入ってしまう。
「その様子は部活終わりか?」
「うん。道場が暑すぎて、練習するにも部員の体調が心配だから」
「そうか。あまり無理はするなよ」
「真田君もね。じゃあ私はこれで」
差し入れとかなくてごめんと謝りつつ、二人に、今週の全国大会頑張ってねと告げて去る。
一緒に帰れないのは少し残念だったが、またの機会にと思い校門を潜る。テニス部の人気を目の当たりにした。確かに人当たりも良いし、見た目もかっこいい人が多い。それに、全国大会の覇者で頭も良い人が多く、正に文武両道。人気がないわけがないか、と納得する。
真田君も幸村君たちみたいに、女の子たちから物を受け取ったりしているんだろうか。想像すると、底知れぬ寂しさが胸に溢れた。