最強ダブルスを結成せよ!
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氷帝、立海の試合が始まる。
切原がフィッチと言い、うめと鳳が目を合わせうめがラフと言う。その宣言を受け、まつはラケットを回した。
倒れたラケットをまつは拾い、鳳たちに見せる。
「よし。ラフだ!サーブを貰いますね」
「やったね鳳くん」
その言葉にまつは絶望する。切原がコートを選ぶ横で、まつはまじか、と顔を青くする。立海の方を見ると、あちゃーといった表情をしている。青学はそんなまつを見て苦笑いをし、氷帝は勝ちを確信したような顔をしている。
試合が始まり、鳳のスカットサーブを放つ。以前よりも速さが増している。先ほどの青学との試合よりも断然早いサーブだった。初心者のまつ相手でも容赦なくコートに叩き込んでいく。
切原も早いと、呟いていた。
「いやとれる訳ないでしょ!手加減ってもんを知らんのか鳳ぃ!」
「うめさんのために、一球入魂です!」
「長太郎、さっきの試合の挽回だな!」
「もちろんです宍戸さん!」
「こんにゃろう!」
「まつ。口じゃなくて手を動かす」
「わかってるわよ!」
そうは言いつつも、サーブを放ったと思ったら既に後ろにあるものをどう取れというのだとまつは焦る。なんとか集中しろと目を凝らすも、難しい。
鳳はうめとダブルスを組んでいること、先ほどの試合の挽回を考えており、かつてないほど好調だった。あの切原さえ上手く反応できないようなスピードでサーブを叩き込んでいく。
あっという間に1ゲームを先取され、今度は切原がサーブとなる。仕返しとばかりにナックルサーブを決めていく。鳳やうめの身体に当てないか心配したまつだが、試合前に切原はラフプレーをしないと約束していたこともあり、ちゃんと約束を守っている切原に安心した。
今度は立海がゲームを取る。1-1となった試合。
うめのサーブとなったが、うめのサーブはなかなか決まらない。先ほどの試合は、うめのサーブがないまま終わってしまったため分からなかったが、どうやらうめはサーブが苦手のようだ。ダブルフォルトとなってしまう。氷帝としても、うめはサーブが苦手と言うことは練習の時から把握していたようで、焦った様子もなく試合を眺めている。
「落ち着きうめ。焦らんでええ」
「う、うん!」
一球入魂と鳳をまねしてサーブを放つ。40-0となった中、ついに何とか入っても、切原にリターンを喰らい立海にポイントが入る。
2-1で立海がリードした。
「まつ先輩!決めちゃってくださいよ」
「よし!」
意気込み、サーブを放つ。その勢いに氷帝は驚く。しかし、勢いこそいいが力み過ぎて鳳やうめの横をボールは通り過ぎる。
「めっちゃアウトやん」
「ホームランか?」
「まだまだだね」
「しっかりせんかまつ!野球ではないぞ!」
「わ、分かってるから!」
馬鹿力だなとたけが呟く。それからまつは何とかコートに入れようと踏ん張るも、逆に意識し過ぎてダブルフォルトになったり上手くいかない。うめだけでなく、まつもサーブが決まらず相手にポイントがはいっていく。
「まつ先輩!練習の時は入ってましたから!それ思い出してください」
「うん」
なかなか決まらず、焦るまつ。試合というのは初めてだ。自身が緊張しているのが手に取るようにまつは分かった。
しかしやはり上手くいかないようで、氷帝がこのゲームを収めた。2-2と並ぶ。それからも、サーブが決まりポイントが入るというのが続く。
「ここまでラリーがない試合なんて初めてみるね」
「ポイントがほぼほぼサービスエースとは」
そんな呟きが聞こえてくる。試合は3-3となり、タイブレークとなった。タイブレークも謎に一進一退の攻防となっている。
切原が痺れを切らし始めていた。鳳のスカットサーブは勢いは変わらない。ラフプレーはしない、そうまつと約束をしていた。まつのためと極力冷静に試合をしていたが、わずかながら切原の目は充血してきていた。それに気が付いたまつは切原に声をかける。
「ごめんね切原。迷惑かけて」
「大丈夫ッス」
少しずつラリーが見られるようになってきた。まつのサーブも入るようになってきたが、氷帝が5-4とリードしている。
まつは今までサーブが入らず迷惑をかけた分、しっかりしなくてはと奮起する。必死でボールを追う。前衛にまつ、後衛に切原がいる。氷帝からのボールは切原の方へ向かった。相手コートの空いているスペースを見る。あっちか、こっちか。まつは必死に考え、あっちに切原が打つと踏み、横にそれる。
しかし、切原はまつの考えた逆の方に狙って打ち返した。
「まつ!!」
「まつ先輩!」
ボールの軌道上に入ってしまったまつの肩に、切原がリターンしたボールが当たる。利き腕でない方ではあるものの、それなりに大きな音がした。
ボールを放った切原も驚愕の表情を浮かべ、まつの元に来る。
「痛たた……ごめん切原」
「俺こそ、その……すみませんでした」
「私のミスだから。負けちゃったね」
「悔しいッス。けど、まだ試合はありますから。それより肩、見せてください」
「大丈夫だって」
6-4となり、氷帝の勝利となった。負けてしまったことにまつは落ち込む。肩の痛みはもうなかった。動かしても問題ないため、大丈夫といったが切原は食い下がる。
「ちょっと見るだけッスから」
「ちょっとー!切原、それ以上はセクハラですから!」
「切原!てめえ何してやがる!」
まつの肩口を覗き込もうとする切原の首の根っこを跡部がひっつかんだ。日吉がまつと切原の間に立った。
立海もまつの元にやってきて、大丈夫かどうか聞いている。まつは負けたことに対して謝罪を述べる。
「サーブがあそこまではいらないとは思わなかったぜ」
「緊張しすぎだろい」
「ごめん」
「元気だしんしゃい。ほれ、ガムでもどうじゃ」
「ありがと……って痛い!なにこれ指挟んだんだけど!」
「プリ。負けた仕置きじゃ」
「くうう言い返せない」
「緊張で己を見失うとは、たるんどる!」
「まつさん。次は青学とですよ」
「今までの練習通りいけば問題ない。赤也がフォローをいれる」
「まつ。赤也。次、いけるよね?」
先ほどの氷帝とうめのやり取りを思い返す。立海はどこまでも立海でまつは笑った。切原と共に、次の試合に向けて気合いを入れる。
桃城とたけの青学、切原とまつの立海の試合が始まる。
「まつ。相当立海で鍛えられたようだな。サーブは置いといて、それなりに後半はいい動きしていたぜ」
「跡部に褒められるとは。どうもありがと」
「次の試合は応援してやるよ」
「次勝てば皆1勝になるから、もう一回だね。よし頑張る」
「そういえば、言い忘れていた。俺たちが優勝したら、まつは今年度の残りの期間、立海マネージャーになってもらう話になっているからね」
「は?!」
「おい幸村。何勝手なこと言ってやがる」
「榊さんにも了承は得ているよ」
「なん、だと。おい、まつ。負けろ」
「はああ?!高速手のひら返しかい!」
試合始めるぞーと声がかかり、切原がまつを引っ張っていった。立海の皆に向かって任せてくださいと親指を立てる切原に、勝てと全員が合図を送っていた。
負ければ乾汁。勝てば、もう一度総当たり試合。優勝したら立海マネージャー。どう転ぶのが一番平和なのかまつは遠い目をしながら考えた。