彼女の生態の裏側


彼女の生態の裏側で


“ショコラティエよりドス黒い”


本当に間が悪い
仕事の帰り道
姉を見つけた
昔とは別人のよう
どこか頼りなく消えてしまいそう
姉も気づいて、想定外の再会となった
何か話そうとして口を噤んでしまう悪い癖
仕事帰りのせいかイラつく
つい言葉が刺々しくなる
まずい、と思いながら
盗み見ると案の定、傷ついた表情
違うよ、そんな表情をさせたかったんじゃない
お願いだから

「一緒にいた・・・・男」

最近、見つけたばかりの彼氏
初見は意外だったけれど
一緒に生活したら当り前を教えてくれた彼氏
バカやっても付き合ってくれて
ズレ過ぎた金銭感覚
他にもズレ過ぎた感覚は山積み
毎日を使って修正
修正して試して
ダメなところを修正して
そうしてあっという間に過ぎていく時間
もっと早くにこうしておけば良かったなんて
微塵も思わないけど
間に合うなら、侵略されないよう願うだけ
それ以外に見えてくる現実に苦しくなる事もあるけど
侵略するものは全て排除すればいい
それは良いとして

「彼氏君、二人だっけ?」

なんて、どうしたらそうなるんだと言う頭の痛くなる思いとめまいを抑えて
知ったまさかの三人共同生活
ちなみに財布は姉、それ以外は彼氏君
なんとも頼もしい限りだな、少し羨ましく思いながら
様子を聞くふりをすれば何とも楽しそうで何より
なに、その可愛い顔
生活年数だけならこっちの方がよっぽど長いのに見たことがない表情
本当に羨ましい

アー、ムカつく

それから場所を変えて四時間、私生活をウンザリするほど聞いてあげた
食べようか迷ったアイスが無残な姿になり果てた
ガトーショコラをフォークでド突き回しながら
ある意味一生、大丈夫だなと
目には見えないフラグを見た気がした


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