彼女の生態の裏側


彼女の生態の裏側で


“絶つともれなく望みは消えます”


絶望と言う字を見てつくづく思うことがある
絶て無く望むな
まるで《あさましい》とさえ言われているような錯覚
同時にうぬぼれるな、と思う程良く出来た自分など居ない
だからこそ己が決して抱いてはいけない想いを欠片でも浮かべることが無いように
自分の手元を確認する
もしかするとその行為が既にあってはならない事象かもしれないが
浸からなければ大丈夫
この言葉を呪文にして今日も生きてる
横暴に卑劣に
それでも構わない
誰に制御できるか
自分を改めて認識し始めてから解った事がある
いくつも存在するモノの一部でしか無かった事の愚かさを
並べられた商品は
いつか飽きられて捨てられる
手に取られることすら無いかもしれない
それで良いと思ったのは少し前
今は違う、手に取られてしまったからには
捨てられないように必死になる
卑怯にもなる
ここまでずるくなれたのかと驚くほどに
思い思われ、好いて好かれる
どうにかなりそうだ
頭が壊れて、もう解らない
何度も思考を放棄しかけた

目が覚めた

「うなされた?」
「なんつうか、うなされるよりソレ」

指摘された場所を見れば切れた唇に爪の食い込んだ掌
また、やったのか、と
思いはしても彼の前では初めて、で

「卑怯になったな」
「何が?」

何も知らない彼は首を傾げて意味が分からないと言う顔をする
その後は何も思うことがなかった
吹っ切れた、と言うのかもしれない
笑ってごまかした

日曜の朝、結局、自分の足元が揺らいだせいなんだ、と
小さく笑った

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