彼女の生態の裏側


彼女の生態の裏側で


“痛みと痛みと痛みと”


目の前でひたすら刻む
刻まれている相手が煩い
それでも黙々と切り刻む
使うのは刃を改造したチェーンソー
普通サイズの刃だと細かい部分を切るのに苦労する
だから刃を草刈りで使われているものや強度を改良したものを装着
鋭利なもので刻むから相手の痛みは尋常では無い
それでもこの仕様にしたのは自分の後ろで笑顔で座っている依頼主の要求
今回は標的の悲鳴が聞きたい、との事
自分で言うのもなんだが悪趣味極まりない依頼主
それでも断らない自分も自分だ
既に右腕は手首、肘、肩まで切断完了
ショック死しないよう細心の注意を払いながらチェーンソーを握る
失血量等の都合で意識が飛んでしまう事があったがその際には電気ショックを与えて強制的に正気に戻す
それから左腕の切断へ
ゆっくり下ろしながら途中で
新たに追加された腕の骨に沿って切れ込みを入れたりして完了
それにしてもこの標的も実に元気だ
ここまでされてまだ生きているし声も出る
しかし、ここからが問題でこの状態で足を付け根まで切断するのはかなり難しい
大腿部にはやっかいな血管がいくつもあってそれをうっかり切ると一気に失血死してしまう
どうしたものかと考えあぐねていると依頼主のものと思われる声が聞こえた
結局、膝から上は切らなくて良いと言う
別のオーダーが追加されて両足の足首、足首から膝までの中間の切断で終わった

「上手だね」
「恐れ入ります」

刻む工程は自分の役目だが最終処分は別の誰かがやるようだ
至極楽しそうに眺める依頼主
ぼんやりと見ている自分
依頼主のボディーガードは全員かなり顔色が悪かった


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