彼女の生態の裏側
彼女の生態の裏側で
“好きも嫌いもさして変わらない”
個人の感情で殺すことは
何よりも傲慢だ
誰に教えられたものか忘れてしまったが確かにそうかもしれない
手の感覚が無くなりそうになる
次から次へと殺していく
手の中にある刃物が血に濡れて思うように動かしずらい
でも不思議と不快に思わない
この殺しに依頼主はいない
《自分の為に殺しているのだから》
こんなにも開放的な気分になれた事があっただろうか
全身の疲労が限界を訴えるが気にならない
感覚が鈍くなってもまるで危機感と言うものが無い
仕事では最大の注意
最新の配慮が必要となるが
それがいらなくなっただけでこんなにも変われるのだろうか
思わず習慣化しそうになるのを頭を振って自制心を取り戻す
《自分の為、そして彼女の為》
何度も頭の中で繰り返す
そうしているうちに先程、無関係なものを殺してしまった
周囲を見渡してため息を一つ
大体を片付けたところで
引き上げる事にした
残りは明日でも間に合う
ふと声がして目を向けると
僅かに息があったものが呻き声をあげていた
「ゴメンね、わがまま、で」
頭から血を流したソレは更に両目から涙を流していた