彼女の双子の姉の生態
彼女の双子の姉の生態
“好きなのに愛せない”
完全な一人になりたい時、ルームシェアは少し苦しい
別に何があった訳じゃない
特に困った事も無い
ただ、漠然と一人になりたい時がある
どうしようかと外で場所を探そうかと思って、一度出たけどやっぱり帰ってきてしまった
ただ、帰ってきた時、いつも通り接していたつもりが
彼女はその日、必要最低限のやりとりだけでアイツとも衝突する事も無かった
寝る前になんとなく謝ったら
《誰かといたら一人になりたくなる、一人になったら誰かといたくなる》
そう、返ってきた
意味を聞く前に彼女は寝ちまった
今も一人になりたい最中のはずだけど
隣に眠る彼女
ひたすら聞こえてくるのは寝息
いつもの様に察して一人にさせてくれたけど、なんとなく
無意識としか言いようがない
必要書類の確認を済ませた彼女から手渡された資料と一緒に彼女の軽すぎる体を担ぎ上げた
ベッドに一緒に倒れこんで抱きしめながらぼんやり
最初は彼女も慌てていたが俺がぼんやりし始めると一切の身動きをとらなくなった
大事にしたいはずなのにこのまま抱きしめ続けて溶けて俺の中の一部になればいいのに
訳のわからない事を考えながら抱きしめる力は緩める事は出来なくて
どうしたら良いのか解らない感覚に
本当に俺は一体いつから三人で生活を始めたのか
思い出そうとして
なんでか思い出せないでいた
《誰かといたら一人になりたくなる、一人になったら誰かといたくなる》
彼女の言葉がハッキリ聞こえる