彼女の生態


彼女の生態


“チョコと満腹と逆襲と”


「チョコレート♪」

バリバリ音を立てて食べまくる彼女
それはもう満面の笑み
普通の女子みだったらカロリーとか気にして絶対こんな物量を食べたりしないだろう
目の前には板チョコ
スーパーのかなり大きい袋に入っていたらしい
見た目でも30枚前後はありそうだ
どこで買ったかは解らないが何よりこの暴挙をどうすれば、と悩む俺をよそに彼女はバリバリ食べていく

「一体、どうしたんだよ」
「んー」
「そんなに食べるとニキビとかできるぞ」
「んー」

さっきからやる気のない返事ばかり
意識飛ばしたいくらい何かあったか?
それとも俺がやらかしたのか?
しかし、その後もチョコの消費は止まらず結局食べつくした

「・・・・・」

今度は泣きそうな顔
ちょっと待ってくれ
俺の方が明らか泣きそうだからね!?
しかし完全に泣かないのはプライドか?
ひとまずストッパー用にタオルを渡してやると泣き出した

「うぇぇぇえええぇぇ」

それ、俺の心の声ー
タオルと一緒にダイブしてきたので抱き留めて倒れこみながら頭をぶつけた

「うぁぁぁあああぁぁぁぁあああ」

だから、それ俺の心の声ー
天井しか見ない部屋で謎の大号泣の彼女を抱き留めながら
俺、最近こんなのばっかり気がする、と考えた
時々、リーマンなのか、シッターなのかガチで考え始めたこの頃
もし、俺がいなくなったら彼女はどうするんだろう、と
時々思うことがあった
当分、無いけど

「で?」
「あのねぇ」

こだわらなくても良いのだろうけど抱き留めたのを剥がしついでに理由を聞いてみた

「さらわれちゃうのー」
「俺が?」
「うん」

長いのでまとめていくとチョコレートの王様というやつが俺をさらって
彼女がどんなに走っても声を上げても取り返せなかったらしい
それで報復活動としてチョコレートの大量消費に至るそうだ

「ふーん」
「う・・・」
「え?」

話し終えたところで急に口を押えてトイレへダッシュ
結局、チョコレートの王様はトイレに流された
さすがの彼女も胃がもたれたそうだ
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